2003年3月29日(土)「しんぶん赤旗」
疑惑隠し、一片の道理もない自民、公明などによる不信任にたいし大田正徳島県知事は二十八日の記者会見で、自動失職の道を選び、知事選挙で県民の信を問う決意を明らかにしました。
(尾崎吉彦記者)
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いつもの会見より多い取材記者約五十人、七台のテレビカメラが並ぶ中最後の会見にのぞんだ大田知事。「不信任はまったく心外」。この十一カ月、自民、公明など県議会野党との議論を振り返った大田知事は、「私の思いはいささかも揺らぐものではない。あらためて県民のみなさんの信を問いたい」と再選への決意をきっぱり。
いまなんで不信任なのか−。知事不信任にたいする県民の関心は高く、「政治のことはよくわからないが、私らには自民党さんが大田さんをいじめているようにしかうつらん、近所ではそんな話をしています」(徳島駅前のうどん屋さん)。「自分は新聞をよく読んでいるが、なぜ不信任か、家族で話しても、どうもわからない」(中年の男性)など、家庭や街のあちこちで話題になっています。
不信任直後に四国放送の「おはよう徳島」がおこなった世論調査(二十二日調査、三百人対象)では、「不信任を支持しない」と答えた人が62%にのぼり、大田知事の支持率も十月の52%から今回の調査では60%にはねあがりました。
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県政汚職で円藤前知事が逮捕される事態をうけて、大田知事が当選したのは昨年四月。公共工事の県内企業への優先発注や、緑の保全と雇用拡大をはかる緑の公共事業に着手し、少人数学級の導入、政策決定を図るうえでの県民参加も進めてきました。最大の公約であった汚職・利権の一掃については、汚職調査団をたちあげ、県政の立て直しにとりくみ始めました。
自民、公明は、こうした改革をすすめる大田県政をことあるごとに妨害してきました。なかでも徹底していたのが、汚職調査団設置問題でした。知事が提案した円藤前知事による収賄事件の汚職構造の解明にとりくむ第三者を入れた調査団の設置は都道府県レベルでは全国初の画期的なもの。
大田知事が、調査団の設置を提案したとき、自民、公明などは、「身内の問題は身内でとりくむべきだ」(自民交友会の谷善雄議員)、「県の組織に自浄能力があるかどうかが問われている」(公明の長尾哲見議員)、「外部委託より庁内の調査で十分。血税の浪費だ」(五月会の久次米圭一郎議員)といって反対。県民の激しい反発を受けて設置に賛成せざるをえなくなってからも、過去に汚職事件などを手がけたことがあり、この種の調査に精通している県外弁護士をはずせなどと要求。また、調査費用として一千万円を計上したところ、自民、公明は調査費をゼロにしてしまいました。
そして汚職調査団がたちあがるとこんどは、知事不信任。調査団が四月から本格的な活動をはじめようとしている矢先でした。円藤前知事の与党として選挙資金を受けたとされる疑惑にかかわる議員が、汚職調査団の骨抜きをはかろうとしているのです。
自民、公明による大田知事降ろしの策動は、知事就任直後から執ようにおこなわれてきました。とはいえ、徳島県下全域でもりあがった汚職調査団設置を求める二万人を超える署名やカンパ活動は、公明党県議に「県民からの風あたりは厳しかった」といわしめるほどもりあがり、不信任の動きは影をひそめました。
ところが、突然、二月定例議会の最終盤に不信任の動きが表に出てきたのです。四月には県議選があり、出席議員の四分の三の賛成がいる不信任を通すには今しかないとの判断から急浮上。自民県民会議(十八)、自民交友会(十一)、五月会(二)の三会派に、表向き「中立」を標榜している公明党(二)を加えて、不信任を強行しました。
大田知事は、不信任された直後、「(調査)結果がでる前に私をつぶし、調査団をなきものにしていくのが不信任の最大の狙いではないか」とのべ、汚職・腐敗隠しをするための不信任であると告発しています。
反共だけが存在意義の公明党も、不信任で生まれた県民との矛盾は大きく、離党した党員や「もう公明党の選挙はしたくない」という公明党員もでてきています。
日本共産党県議団(山田豊、古田美知代両議員)は、県政与党として県民本位の県政前進に力をつくすとともに、空港拡張問題、副知事選任問題などで執ように攻撃をくりかえす自民、公明の議論を論破し、大田県政を支えてきました。
知事不信任動議にたいし、日本共産党県議団は、「大田県政はジグザグはあるが確かな一歩を踏み出している」と強調、「県民の立場の改革が進みかけたこの時期にこれを力ずくで断ち切る不信任案は一片の道理も大義もない」と糾弾する反対討論をおこない、腐敗と悪政にしがみつく勢力に未来がないことを明らかにしました。
山田県議はいいます。「知事不信任の是非がお茶の間の話題として話し合われるほど、県民の関心は高くなっています。『無法なイラク戦争の中止を。平和の審判を下そう』『自民、公明が強行した知事不信任に大義はない。汚職隠しをねらう自民、公明に審判をくだし、くらし、福祉をまもる県政の流れをさらに大きく』と訴え、県議選と市町村議選、それに続く知事選で、日本共産党の躍進と大田知事候補の勝利を勝ち取るため全力をあげています」
県議選は四月四日告示で日本共産党は五人の候補をたて、二十日告示の市町村議選には十三市町に二十三人の候補を擁立しています。五月に予定される知事選では大田知事候補を支持してたたかいます。