日本共産党

2003年3月28日(金)「しんぶん赤旗」

川崎協同病院事件で初公判

被告は殺意を否定


 川崎市の川崎協同病院にぜんそく発作による心肺停止で緊急入院中の男性患者=当時(58)=が呼吸を確保する気管チューブを抜かれた後、筋弛緩(しかん)剤を投与され死亡した事件で、殺人罪に問われた元主治医の須田セツ子被告(48)=昨年二月同病院を退職=に対する初公判が二十七日、横浜地裁(広瀬健二裁判長)でありました。須田被告側は殺意を否認し、無罪を主張しました。

 起訴状などによると、須田被告は一九九八年十一月十六日午後六時から七時にかけて、殺意をもって自発呼吸を確保するためのチューブを抜き、筋弛緩剤を投与、同七時十一分ごろ呼吸筋弛緩による窒息で死亡させたとしています。

 検察側は冒頭陳述で、「家族にとって患者が人的・経済的負担を除去する」ことが犯行の動機だったことを明らかにし、被告が「回復困難な患者に対して早期に治療を打ち切る考え方・傾向が強かった」と指摘。「容態が急変しても蘇生(そせい)措置を施さずに患者の自然治癒力のみにゆだねて自然死させる方針を固めた」として、同月十三日には「気管内チューブを抜去して窒息死させることを決意」していたとしています。

 弁護側は「筋弛緩剤によって死亡したとは考えられない」などと筋弛緩剤の投与量が検察側主張より少なく、死亡との因果関係はないと起訴事実を否認。罪状認否では「チューブを抜いたのは家族の要請によるもの。筋弛緩剤の投与は(苦もんを取り除いて)自然な死を迎えさせるためだった」と殺意を否定し、無罪を主張しました。


再発防止の実践報告 病院長が談話を発表

 川崎協同病院は二十七日、初公判にあたって佐々木秀樹病院長の談話を発表しました。

 談話は、遺族に対してあらためておわびをし、「裁判のゆくえを見守っていきたい」とのべて、医療事故の防止、人権を尊重する職員の養成、地域の人たちが安心して医療を受けられる病院づくりを目指し、信頼回復に努力する決意を語っています。

 談話は、事件公表後、このようなことを二度と繰り返さないために、事実解明などのための内部調査委員会と、医療にかかわる専門家による外部評価委員会を設置。両委員会の報告書で指摘されたり批判・提言を受けて、病院の体制強化と患者本位のよりよい医療を実現するために努力していることを報告しています。

 そして、チーム医療の再構築、グループ回診や重症患者回診などに取り組み、医療安全管理指針の改定、インフォームドコンセント(十分な説明と患者の納得による治療)のガイドラインの作成、終末期医療に関する指針などについて、これらの実施にむけて病院内での討議をすすめていることを明らかにしています。


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