日本共産党

2003年3月22日(土)「しんぶん赤旗」

金融機関組織再編法は地域金融を強化する?


 〈問い〉 今年から施行されている金融機関組織再編法は、地域金融の強化につながるのですか。(千葉・一読者)

 〈答え〉 「不良債権」処理加速政策が、信用金庫・信用組合など地域金融機関にも貸出金の縮小を迫り、中小企業の資金繰りを圧迫している現実にたいし、政府も最近は、地域金融の独自の役割について口にせざるをえなくなっています。

 しかし昨年十二月に成立し、今年一月から施行された「金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法」は、地域金融機関が主な対象ですが、地域金融の独特の役割を認めるどころかむしろ弱め、大銀行と同様の収益力強化を求めて合併・再編とリストラや貸し渋りを促進する内容となっています。

 もともと信金・信組などの地域金融機関は、相互扶助の精神にもとづく組合員などによる協同組織であり、組合員や利用者の便宜をはかる地域密着の経営が本旨です。そのため出資者や債権者の権利を保護し、合併には総会の議決が必要など特別のルールがあります。

 ところがこうした制約を、合併・再編のために取り払うのが再編組織法のねらいです。合併などを計画する金融機関が「経営基盤強化計画」を金融担当大臣に提出し、認可をうければ、小規模金融機関の吸収には総会決議を不要としたり、再編に反対した会員の出資持ち分償却などができるようになります。また計画には収益性向上の目標や方法を記載しなければならず、認可された金融機関はリストラや貸しはがし、貸出金利引き上げに狂奔することになります。

 さらに、信金中金や全信組連など地域金融の中央機関にも、傘下の金融機関に「経営基盤強化」を指導させるなど、合併促進の旗振り役を担わせます。

 合併金融機関は、資本増強のため、預金保険機構から株式買い取りなどの支援を受けます。損失は政府保証で穴埋めし、国民の税金を使ったうえに地域金融・地域経済の弱体化を進めることにしかなりません。

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 〔2003・3・22(土)〕


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