2003年3月16日(日)「しんぶん赤旗」
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「協同病院は地域の文化の重要な要素として機能している」―川崎区桜本商店街理事の渥見幸治朗さん(69)=果物店=は、川崎協同病院の地域での役割をこう語りました。
「商店街の主催するもちつき大会などイベントに病院は必ず参加してくれます。これだけ地域に溶け込んだ病院はない。この病院をつぶしてはならないという思いは私たち商店街みんなの思いです」。病院と地域との長いつきあいからうまれた渥見さんの実感です。
川崎市にある老人会・四谷第四鳳凰会の三田政次会長(77)は、「この病院があるからこそ、川崎市内の医療水準の質を落とすことなくたもたれている」と指摘します。
「救急車で運ばれた患者をたらい回ししない。差額ベッド代を取らないなど他の病院がまねの出来ないことをやっている。なくなったら比較する病院がなく、市内の医療水準が悪くなってしまう」
事件公表後の「安全・安心の医療」への同病院の取り組みについて三田会長は「八十点はあげられる」といいます。「失敗したら原因はどこにあったか解明する。そして二度と繰り返さないことです」
ところが、病院攻撃は国会や川崎市議会だけではありません。地域でも、「聖教新聞取扱所」の看板を自宅に掲げる人物が「市民の会」を名乗り、「臨床研修病院の指定を取り消せ」などと、川崎協同病院をつぶそうとする署名を集めています。三田会長は「公明党・創価学会の人たちは悪口を言っていますけど、事件公表後も創価学会の人は川崎協同病院にいっています。現在病院を利用していない地域の人も病院があることで心強く思っている。つぶせばいいという攻撃は地域住民への攻撃です」と話します。
「病院の人たちは二度と起こさないために一生懸命やっています」と評価するのはフランス人のエドワード・ブジョストフスキさん(70)です。
「住民の苦しみを共に生きる」という思いで川崎市に住んで三十二年。浅田カトリック教会の神父で、公害病認定患者です。
「人間の命を大事にして元気になってほしい、という思いで患者に接している医師たちがたくさん協同病院にはいます」。胆のうの手術をうけるために川崎協同病院で入院治療を受けた体験に基づくエドワードさんの思いです。「事件についての内部調査委員会や外部評価委員会の報告書を読ませていただいていますよ。一人の医師の行為で病院のすべてが悪いような中傷はおかしい」ともいいます。
内部調査委員会や外部評価委員会の報告書を受け取った川崎市は、同病院の再発防止への取り組みをどうみているのか。昨年八月二十一日、川崎市健康福祉局は「川崎協同病院内部調査委員会最終報告書検討結果」をまとめ、同市議会健康福祉委員会に報告しました。そこでは次のように評価しています。
「本市としても、内部調査委員会が現段階で考え得る限りの事項について調査及び検討したものと理解し、対策においても、再発防止に向けた同病院の強い意志があらわれているものと考える」
(つづく)