2003年3月15日(土)「しんぶん赤旗」
公明党は最近、「北朝鮮問題で反省と謝罪を求められているのは、日本共産党ではありませんか」などと大書したビラを、「さわやか通信」(千葉)「ヒューマンすみだ」(東京・墨田)「総支部ニュース」(香川)など、タイトルだけ変えて全国各地で配布しています。
内容は、日本共産党のパンフレット『北朝鮮問題 「反省」すべきは公明党ではないのか』(グリーンパンフ)で論破された問題を蒸し返す一方で、「共産党は、自らに向けられた拉致被害者家族や国民の怒り、非難を『泥』呼ばわりし居直っています」などと、新たないいがかりをつけています。
「『泥』よばわり」うんぬんは、関口孝夫・赤旗編集局長の発言の意味をすりかえての攻撃です。関口氏は、二月三日放映のテレビ東京のニュース番組で、グリーンパンフを紹介した際、「グリーンパンフといいますが、別名、僕なんかはクリーンパンフと(呼んでいます)。かけられた泥をぬぐう、という意味で、クリーンにすると」とのべました。
グリーンパンフに収録した論文をみれば、この意味は明りょうです。公明新聞昨年十月十四日付の記者座談会、同二十九日付見開き特集への反論、さらには公明党が拉致問題で日本共産党を攻撃する最大の材料にしている兵本達吉・元共産党国会議員秘書の議論への反論が主な内容です。もっぱら公明党と兵本元秘書への反論だけで、拉致被害者家族や国民にたいする批判などないことは一目りょう然です。
にもかかわらず、公明党が関口氏の発言を「拉致被害者家族や国民の怒り、非難を『泥』呼ばわり」したかのようにすりかえるのは、グリーンパンフが公明党への反論でつきつけた事実に答えられないのをごまかすためです。
公明党は、所属国会議員が拉致実行容疑者である北朝鮮工作員の「釈放」要望書を提出するなど、拉致問題解明を「妨害」してきました。また、七二年の同党竹入訪朝団は「公明党代表団は朝鮮人民が敬愛する金日成(キム・イルソン)首相のチュチェ思想を指針として、千里馬(チョンリマ)の勢いで駆け社会主義建設で大きな進歩をとげたことに対し祝賀した」とうたった「共同声明」に調印。以来、北朝鮮の個人崇拝体制を賛美し、一九九七年十月には、金正日総書記就任に際し、藤井富雄公明代表が「建国の父、故金日成閣下の魂を継承され、金正日閣下の指導体制の下でのご繁栄が、極東アジアひいては国際の平和と安寧に寄与されんことを願います」との祝電を送るなど、北朝鮮に迎合姿勢をとってきたのが公明党です。
公明党は、拉致被害者家族との関係でも、九八年に浜四津敏子代表代行が鹿児島を訪れた際、拉致被害者家族の増元照明さんから要請を受けたにもかかわらず、何の対応もとらなかったことが問題になってきました。
昨年十一月の民放テレビでは、司会者の田原総一朗氏がこのことをあげ、「公明党にたのんだけども、なんにもしてくれなかったと、公明党は。これはなんだ」と質問。高木陽介衆院議員が「浜四津さんが増元さんにお会いして、しっかりおわびすると、すぐに連絡をとらせていただいた」と弁明しましたが、田原氏からは「公明党、やっぱりいい加減だといわざるを得ない」と指摘されました。
こうした批判を避けるために、公明党は卑劣にも拉致被害者家族の名をかたってほこ先を日本共産党に向けようと躍起になっているのです。まさに人道問題を他党を陥れる攻撃のためにもてあそぶものといわなければなりません。(T)