2003年3月14日(金)「しんぶん赤旗」
![]() 訴える若林義春都知事候補=12日、東京・新宿駅西口前 |
こんばんは。お寒いなか、こんなにたくさんの方が足をおとめいただき、勇気百倍です。私が、石原慎太郎都知事と正面から対決する都知事候補、若林義春です。みなさん、大きなご支援、心からお願い申し上げます。(声援、拍手)
私は一昨日、都庁で記者会見し、都民のみなさんへの三つの公約を発表いたしました。
石原知事は今なお、まともな公約を発表しておりません。あの人は前回、「後だしジャンケン」で、イメージだけで、選挙をおこないました。しかし、今回は、前回のようにはいきません。すでにこの四年間の石原都政の悪政の数々があるからです。(「そうだ」の声、拍手)
この四年間の石原都政に審判を加え、都政を都民本位にきりかえる─それが私の公約の基本です。今日は、この場所をお借りして、その一端をお話しいたします。
第一は、記者会見でも公約を説明する前に訴えたことですが、石原知事には都民の代表としての資格がない、重大な問題があるということです。それは憲法にたいする石原氏の態度です。
憲法の改正について、国会議員の三分の二以上の賛成で発議し、そのうえで国民投票をおこなって、過半数の賛成をえた時にのみ、改正できるという憲法のとりきめがあります。昨年十二月の都議会で石原知事は、自民党都議の質問に答えて、自分が総理大臣だったら、国会議員の過半数の賛成で、憲法を破棄する、こういうことを述べました。
日本共産党は見過ごしにできない重大問題として、こんどの都議会で追及しました。
都民に選ばれた都知事は公務員です。憲法にたいして、個人的にどういう考えを持とうが、選ばれた都知事には、憲法九九条に定められた憲法を守る義務があります。
わが党の議員が、あなたの発言は九九条違反ではないのか、撤回しなさいと追及したら、石原さんは、こう答えました。「九九条違反で結構。私はあの憲法を認めません」(四日、都議会予算特別委員会)、こういうふうに議会の場で明言したんです。
これは暴言ですまされる発言ではない。政府の閣僚だったら、即刻罷免です。総理大臣だったら、それこそ内閣総辞職においこまれる性質の大問題です。だいたい都民に選ばれた都知事がこんなことを平気でいうようになったら、法治国家としての土台は崩れてしまいます。石原知事には、総理大臣にも、都知事にもなる資格はない(「そうだ」の声、拍手)。私は、このことを今度の選挙戦では、全都民に訴えかけていく決意です。
みなさん、憲法を守り、憲法を都政にいかす公約を掲げている若林へのご支持は、反憲法の石原氏への痛烈な審判となるものです。みなさん、どうか私を都知事に押し上げてください。(拍手)
第二に、いまどういう都政が、都民にもとめられているのかという問題です。
深刻な不況と国のあいつぐ負担増の押し付けのなかで、地方自治法に定められているように「住民の福祉の増進」をはかること、そして国の悪政の防波堤になることが、まさに今の都政、地方自治体に求められていると思います。(拍手)
ところが、この四年間の石原知事の施策は、銀行税とか、ディーゼル車の排ガス規制とか、首都機能移転反対とか、私たちが以前から追求してきた施策の実行もありますが、それ以外のほとんどの施策は、都民いじめの悪政そのもの。テレビなどでつくられたイメージとは正反対の悪政推進者の姿であります。
石原知事は就任早々、「何が贅沢(ぜいたく)かと言えば、まず福祉」(『文芸春秋』一九九九年七月号)といいました。
そして次々に、福祉を切り下げる。その結果、いま福祉の現場で何がおこっているでしょうか。私は、昨日、在宅で介護を受けていらっしゃるご夫婦、おじいちゃん、おばあちゃんを北区にたずねました。
このご夫婦は、二人とも介護が必要なので、東京都が出してきた福祉手当、お一人につき五万五千円、二人で月に十一万円をもらっていたと聞きました。しかし、この手当は三月でおしまい。四月以降はゼロになってしまいます。
娘さんの献身的な介護でようやく生活できているとうかがいました。あの介護保険制度が始まる前は、一カ月の介護にかかる負担は一万三千円だったそうです。それが、介護保険が始まってからは、介護サービスの利用料だけで、一カ月四万五千円になるときもあるそうです。三倍以上です。これで精いっぱいの暮らしとなっている。
いま、このおじいちゃん、おばあちゃんの家より収入がずっと低い、低所得者のお年寄りの世帯は、東京のお年寄り世帯の六割を占めています。ですから、お年寄りの命綱となってきた、福祉手当をバッサリと削ったら、どうやって暮らしていけばいいのか。目に涙を浮かべながら、怒りの声をあらわしておられました。介護にあたっている娘さんは、私に「石原知事に一日、私と交代して介護してもらいたい」と痛烈に訴えておられました。
石原知事は、国の制度がととのっているとして福祉の切り下げをすすめました。その制度とはわずかな年金と生活保護などです。これだけでやっていけるなら、なんの苦労もいりません。石原知事は、あまりにも世間知らずです。都民に選ばれた知事なら、少しは現場にいったらどうか、そう言ってやりたいと思います。(「そうだ」の声、拍手)
こうした切り下げの結果、この四年間で福祉予算は、先ほどお話がありましたように三百三十億円の減額。大都市をもつ県では、他に例がない。みなさん、都議会で追及した時につくったグラフを大きくして持ってきました。東京だけがマイナス、千葉は22%プラスになっているのをはじめ、大都市を含むすべての県がプラスになっている具体的証明です。
このことを追及されると、石原知事は答弁に困って「共産党流の数字」といいました。みなさん、数字には、共産党流も、石原流も、自民党流もありません。一つです。とんでもない、言い逃れです。(笑い)
みなさん、その一方で石原知事が目玉にしてきた認証保育所という施設があります。
民間企業の力を活用して、駅前にどんどんつくられている簡易な保育所です。これを調べたら、あまりにも高い保育料金の問題が明らかになりました。
〇歳児で平均月七万円、十万円以上のところも何カ所もあります。普通の保育園は、三歳未満だったら月平均二万円台です。三歳以上だったら一万円台。その三倍以上の保育料をとる保育所が認証保育所です。
都の担当者は、このままでいったら、料金が高くて、認証保育所は見放される、もたない、そのためには、普通の保育所の保育料を値上げさせよう、そのために東京都の補助金をカットしようということを考え始めました。
私は昨日、多摩市の民間の保育施設に行き、すばらしい保育の状況を勉強してきました。そこでも都の補助金をカットしたら、サービスの低下どころか、保育そのものが破たんするということを、関係者の方からこもごも訴えられました。
いま保育所の定員の97%は普通の保育所が占めています。認証保育所は2・4%です。東京都がまずやるべきことは、こうした普通の保育所の保育を充実させるために、都の保育所への補助金を充実すること。これこそ、まずやるべき仕事だと思いますが、いかがでしょうか。(拍手)
みなさん、お金がないからではないんです。税金の使い方が根本から間違っているんです。「都市再生」と称して、超高層ビルや一`一千億円もかけての高速道路建設が本当に必要なのか。先送りできるものや無駄遣いを是正すれば、お金は生み出すことができます。
そのうちわけを円グラフにしたものがこれです。テレビに出る機会があれば、これを持ち込んで、おおいに今の都政の実態を明らかにしようと思っています。
この無駄遣いや、大型開発中心のお金の使い方をあらためたら、東京都の年間予算は六兆円(一般会計)、韓国の年間予算に匹敵する予算があります。福祉や保育、教育、中小企業の支援の仕事を抜本的に拡充することができます。
三十人学級は一学年三十一億円あれば、ただちに踏み出すことができます。乳幼児医療費の完全無料化、特に三多摩地域で求められていますが、四十三億円あれば実現できます。予算の数%の使い方を変えれば、切り下げた福祉の復活、保育所の支援強化、環境を守る、都立病院の統廃合を中止し、充実させる─どんどん、こういう都民施策が実現できます。
石原知事は地方自治体の精神をかけらももっていない人物だと思います。だからこそ福祉は削っても、今度の再出馬の表明でも、あいかわらずカジノを実現するといいました。鳥取県の片山善博知事が「そこまで落ちぶれたくはない」といったのは、まさに名言です。
石原知事への支持は、福祉切り捨てとカジノへの支持にしかなりません。福祉と暮らしを都政の第一にする若林義春へのご支持、ご協力を心からお願い申し上げます。(「そうだ」の声、拍手)
最後に民主主義と平和の問題についてお話しします。石原知事ほど、民主主義と人権のかけらもない知事は例がありません。
あの女性蔑視(べっし)発言、“おばあちゃんの存在は有害”という趣旨の発言でした。実際の彼の言葉は、もっと下品で低劣で引用する気にもなれません。
彼は、世の中の批判を浴びると、この言葉は対談した東大の先生の発言だとひきょうな責任逃れをしました。しかし、真実は隠せません。実は、この東大の先生は「おばあちゃんの存在で人類が発展した」という学説の提唱者だったんです。石原氏のいうこととは正反対、「有害」という言葉は、石原氏自身の本音だったんです。人のせいにしてはいけません。(「そうだ」の声)
一事が万事、この調子です。障害者への蔑視発言も、特別な日本共産党嫌いも根は一つです。民主主義と人権の意識が全くない政治家です。
私が知事になったら、民主主義と人権をなによりも大切にいたします。そして都民のみなさんのところにどんどん出かけていって、知事を囲む懇談会を無数に開きます。
みなさん、石原知事は大の戦争好きです。イラク戦争にかぎりません。「反共は戦争とファシズム前夜の声」という言葉は、石原知事にこそあてはまる言葉だと思います。石原知事への支持は、イラク戦争賛成への支持にしかなりません。私、若林義春への支持は戦争反対と平和への支持であることは間違いありません。みなさん、大きなご支援をお願い申し上げます。(「そうだ」の声、拍手)
憲法と平和を守り、福祉と暮らしを中心にした都民のための都政、今度の選挙で実現しようではありませんか。(拍手)
私が青年時代に好きだった言葉を演説の最後に紹介いたします。あの第二次世界大戦にむかう時期に、戦争とファシズム反対を全世界によびかけたフランスの反戦作家ロマン・ロランの訴え、「手をつなごう、ロンド(輪舞=輪になって踊ること)をくもう。平和のロンドを」。この言葉を、この場での私の最後のメッセージとして、私の決意表明にかえたいと思います。
みなさん、頑張って、頑張って、頑張りぬきますので、どうか都政の場に押し上げていただきますよう心からお願いして、この場所での訴えにかえさせていただきます。みなさん、長い時間、どうもありがとうございました。(歓声、大きな拍手)