日本共産党

2003年3月13日(木)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

参院決算委で大沢議員指摘

神戸空港 根本から見直しを


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質問する大沢辰美議員=10日、参院予算委員会

 動かしがたい事実と国民の切実な声を小泉内閣に突き付けた日本共産党の大沢辰美議員の参院決算委員会質問(十日)。自民党支持者からも「お礼をいいたい」と感想が寄せられました。

いい加減な予測で神戸空港建設推進

 多くの市民の反対の声を無視して、二〇〇五年開港予定で神戸市沖合に建設中の神戸空港。

 神戸市は昨年、需要予測を下方修正したものの十五万人程度の減少にすぎず、開港後十年後には四百三十四万人の利用者を見込んでいます。

 大沢氏は、この背景にいい加減な需要予測があることを示しました。発着枠(一日六十回)を考慮しないと二〇一五年には七百六万人が利用するというものです。

 神戸空港利用者のうち神戸市内の人は12%しかなく、大阪空港がある大阪府北部からの人が40%もあり、関西空港に三十分で行ける和歌山の人が二時間もかけて十万人も神戸空港を利用すると予測。大沢氏がパネルを使って示すと、驚きの声があがりました。

 大沢 (神戸空港じゃなくて)大阪空港かなと思ったぐらいだ。根拠がおかしい。こういう形で建設をすすめていくことはいかがなものか。

 扇千景国土交通相 需要だけでなく空域、関空と伊丹と神戸の三角形を見直さないといけない。

 神戸空港建設を続けるため、大阪(伊丹)空港廃止論まで持ち出してごまかそうとする扇国交相。「ムダな事業を、でたらめな予測を使って建設すべきでない」と大沢氏が迫ると、小泉純一郎首相は「当初計画していたものが将来あわなくなることはあり得る。見直しを否定するものではない」と答えざるをえませんでした。

援護資金返済延長―首長と協議約束

 大震災からの復興がすすまないなかで、被災者が生活再建のために自治体から借りた「災害援護資金」を返済できない問題が起きています。

 この資金は、最高限度額が三百五十万円で五年据え置きの五年返済。市町から県への償還期間は十一年、県から国への償還期間は十二年です。

 利用者は五万六千人ですが、一万五千人が通常返済ができず、死亡や自己破産、行方不明が四千四十一人にのぼります。ところが返済を免除された人はわずか六十七人で、あとは連帯保証人が返済を迫られています。

 大沢 なぜ死亡した人から取りたてるのか。自治体は国に返さないといけないからだ。返済期限の延長を自治体の首長と協議してほしい。

 坂口力厚労相 県や市の意見も十分に聞きながら可能なようにしなければならない。

 自治体で対応しているとしか答えなかった坂口氏も、「血の通った生活支援を」と迫る大沢氏に協議を約束しました。

サービス残業―日常的な検査を

 労働者の告発や労働基準監督署の摘発がひろがっているサービス残業。大沢氏は、大企業で根深く残っているサービス残業の根絶に向けて厳しい対策を求めました。

 “昨年だけで五回も労働基準監督署の調査が入り未払い残業代が支払われましたが、設計関係部門では帰宅は「午前様」で残業時間は七、八時間なのに二、三時間の残業しか付けていない”――兵庫県伊丹、尼崎両市にある三菱電機工場の労働者の訴えです。

 大沢氏は「労働基準監督署に駆け込んでも一時的になくなるだけ。仕事が減るわけじゃないから仕方がない」と会社側が公言しているという話も示し、「根本的にやらないといけない。特に大企業には日常的、定期的な検査をやるべきだ」と強調しました。

 坂口厚労相は「われわれもやるべきことはやりたい」、小泉首相は「政府も使用者側も労働組合も一体となって解消に努めていかなきゃならない」と答えました。


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