日本共産党

2003年3月12日(水)「しんぶん赤旗」

マスメディア時評

NHKのイラク報道に望む


 日本時間三月八日未明の国連安保理での国連イラク査察団の報告と各国の意見表明をめぐるNHKニュースは、査察報告の内容を正確に伝えず、査察団と各国の査察継続、平和解決への強い希望を反映しませんでした。

委員長報告の発展を無視

 査察団のブリクス委員長は、イラク側に「積極的」、「自発的」な協力姿勢が見られるとして今後、数カ月間の査察の継続を希望しました。報告後の討議では、武力行使容認決議案を推進する米英とスペイン以外の各国は、米英の決議案を支持するブルガリアをふくめすべての国が平和解決への希望を表明しました。

 しかし、この安保理協議を伝えた八日正午のNHKニュースは、「ブリクス委員長の報告には否定、肯定の両方の要素が盛り込まれたことから、武力行使を主張する米国と査察の継続を主張するフランスの両陣営はそれぞれみずからに都合のいい部分を強調するだけで対立は解消されていません」と報じました。

 この報道は、今回のブリクス委員長の報告がこれまでの報告から発展している点を見逃しています。ブリクス委員長は例えば二月十四日の報告では、イラク側の「プロセスに関する協力」を評価しつつ、「実質に関する協力」に多くの注文を付けていました。今回の報告では、協力が積極的になり、実質的な前進が見られることを確認し、査察を「数カ月間継続する」ことを希望したのです。

 NHKの見方は前日、安保理前のブリクス報告への予測報道と基本的に同じものでした。七日午後十時のNHKニュースは「否定、肯定両面の要素が混在した内容になると見られる」とし、「このため、米国とフランスの両陣営は報告の中からそれぞれ都合のいい部分を引用するなどして各国への働きかけを強めるものと見られる」と報じていました。現実のブリクス報告が査察の継続を求めるなど予測を覆す内容になったことは無視されました。

米国の主張を中心的に報道

 今回の報道に限らず、NHKのイラク問題報道は多くの場合、武力行使を迫る米国の主張と行動を中心的に詳細に伝え、これに反対する見解として仏独などの主張を伝えるというパターンです。国連憲章や国連決議の順守を訴え、イラク問題の平和解決を求める仏ロ中独などの主張は、常に米国の主張に対立するものとしてのみ描かれています。

 世界と日本の圧倒的な世論は査察の継続による平和解決を望んでいます。NHKがこうした内外の世論や安保理各国の動向を公正に伝え、武力の行使、武力の威嚇を否定する日本国憲法と国連憲章を守る立場に立ってイラク問題を報道するよう望みます。(鈴木勝比古)


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