2003年3月8日(土)「しんぶん赤旗」
「政治資金規正法違反容疑だけで、本当に国会議員を逮捕するのか」。七日、坂井隆憲衆院議員(自民党除名)の逮捕に、自民党のベテラン政策秘書はこういって押し黙りました。事件の背景をみてみると−−。
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「坂井議員の逮捕はひとごとではない」
ある自民党中堅議員の秘書は今回の事件を深刻に受け止めます。
「坂井議員のケースでは、企業による秘書給与や事務所経費の負担についても逮捕容疑の対象としている。秘書給与や事務所経費を企業に負担させながら、収支報告書に記載していない議員は少なくない。背筋が寒くなっている議員は多いのでは…」
坂井議員をめぐる事件の突破口となったのは、今年一月、所得税約七千万円を脱税したとして逮捕・起訴された経営コンサルタント・忠村吉朗被告の事件。忠村被告と親しい元自民党秘書はこう話します。
「忠村被告はもともと元労相の私設秘書だった。その後、人材派遣会社・日本マンパワーの小野憲会長の顧問となり『政界担当』となった。その際、元労相の派閥だった旧福田派(現、森派)所属の議員や秘書のところによくいっていた。公共工事の『口利き』事件で起訴された『業際都市開発研究所』の尾崎光郎被告のところにもよく出入りしていた」
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実際、東京地検特捜部は坂井議員をめぐる事件で尾崎被告の関係先を家宅捜索しています。坂井議員をめぐる事件の背後には、自民党に長くつづく「口利き」政治があったのです。しかもその「口利き」で頼ったのは小泉首相もいた旧福田派。坂井議員も森派所属で、九五年の自民党総裁選の際には小泉首相の推薦人に名前を連ねています。
坂井議員への資金提供の契機となったのは、小野氏が社長をつとめていた人材派遣大手の「キャリアスタッフ」(現・アデコキャリアスタッフ)の主要取引銀行を変更する際の「口利き」でした。小野氏は忠村被告の仲介で旧福田派の有力議員を頼り、旧大蔵省出身で銀行に顔が利く坂井議員を紹介してもらったのです。
「今後も便宜を図ってもらえるかと思い、資金提供することにした」
小野氏は坂井議員への巨額の資金提供についてそう説明しています。旧大蔵省OBで労働政務次官を経験した“労働族”の坂井議員に小野会長は何を依頼したのか−−巨額闇献金の裏にある疑惑の解明はこれからです。