日本共産党

2003年3月8日(土)「しんぶん赤旗」

イラク情勢が重大局面


 国連査察団が安保理に行うイラクの大量破壊兵器の追加報告を前にブッシュ米大統領は六日の記者会見で、イラクのフセイン政権を米国の「直接の脅威」と決め付け、安保理の決議の行方にかかわらず武力を行使することを強く示唆しました。戦争か平和かの重大な岐路に立つイラク問題は緊迫の度を増しています。



戦争

“武力行使へ”米大統領強硬

 国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長は二月二十八日に明らかにした査察報告の事前のペーパーで、イラクの査察団への協力や偵察飛行の実施など査察の進展を指摘。他方で、いくつかの問題点もあげ、「兵器廃棄の成果は限定的だ」とのべていました。その後、イラクが弾道ミサイル「アルサムード2」の廃棄に同意し、六日までに三十四基が廃棄されるなど査察はいっそう進展しています。

 ブリクス氏は七日の報告にこうした新たな状況と評価を盛り込みます。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長も六日、イラクが積極的に協力し、査察が進展している以上、「査察を中止する理由はない」と語っています。

 これに対し、ブッシュ米大統領は六日、イラクが「いくつかのミサイルを破壊しながら、同型のミサイルの生産を命じている」「(生物・化学兵器用の)物質が十二時間、二十四時間おきに移動されている」などの新たな「証拠」があるなどとして、ブリクス委員長をけん制しました。

 記者会見でブッシュ氏に容赦のない質問があびせられました。「パウエル米国務長官が(二月五日に)新たな『証拠』を安保理に提出した後でも同盟国が(イラクの)脅威が現実的なものだとは考えていないのはなぜか」「最近のデモで多くの参加者が米国こそが平和に対する脅威だと示唆しているが…」「あなたの対イラク政策はフランス、ロシア、中国、ドイツ、トルコ、アラブ連盟その他多くの国の反対を引き起こし、北大西洋条約機構(NATO)を分裂させた。なぜ、彼らは米政権をごう慢だとみているのか」といったもの。

 これに対しブッシュ氏は事実上、“イラクの脅威”を繰り返すだけでした。これを根拠に武力行使を正当化する姿勢を示しました。

 戦争反対、平和的解決を求める声がますます明確に国際社会の大勢となる中、安保理での討議は重大な局面に入ります。



平和

全米、世界で大反戦行動へ

きょうも行動

 【ワシントン7日遠藤誠二】イラク問題をめぐる国連安保理の協議が大詰めを迎えるなか、二月十五日に世界各地で平和集会を成功させた反戦運動団体は、今週末から来週にかけてさらにさまざまな行動を展開し、戦争阻止を訴える計画です。

 連合体「戦争阻止と人種差別停止を今こそ」(国際ANSWER)の米国本部は、十五日にワシントンのホワイトハウス前で緊急集会を開催します。二月十五日の集会に続く大規模デモとなります。参加者のため三十五州の百以上の都市からバスの運行が予定されています。

 この日、米西海岸では平和運動の拠点サンフランシスコと米第二の都市ロサンゼルスでも集会が開かれます。

 国際婦人デーの八日には、昨年十月からホワイトハウス前で抗議のピケ行動を続けていた女性の平和組織「コードピンク」がワシントン市内で戦争阻止の声をあげます。

 ロンドンでは一日、世界二十八カ国から百二十人以上の平和・反戦団体代表が集まる会議が行われ、対イラク戦争阻止に向けた国際的な協力について論議。米国で行われる十五日の行動に連帯して各国でデモなどの活動を繰り広げることを呼びかけました。


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