2003年3月2日(日)「しんぶん赤旗」
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「赤ちゃん、幼児にとって、食事は保育の一貫です」「保育所の給食室をなくさないで―」。全国の保育所から調理師、栄養士、保育士ら千人以上が集まった第十七回全国保育所給食セミナー(二月二十二、二十三日、神戸市)。「規制改革」の矢面にたつ保育所給食を守ろうと、熱い討論がおこなわれました。
「朝七時前、まだ目が覚めず、朝食ものどに通らないまま登園する子。元気がなかったけれど、おにぎりを出すとあっという間に食べた」「早朝から登園し、夜も遅くまでいる子が、最近本当に増えている」「疲労で食事作りが十分にできない、という親の悩みもよく聞く」―。
「長時間保育と食事」の分科会では、年々深刻になる親の労働強化のもと、少しでも夕食を補おうと「補食」を実施したり、遅い迎えに対応した「夕食」を実施している実態が交流されました。保育所給食が、親子の生活を支えている状況が論議され、親の労働と子どもの生活を把握することで、一人ひとりの子どもに対応した食の援助ができていることが、明らかになりました。
さらに「父母が安心して働き続けられるようにと、延長保育をやればやるほど、会社は労働時間を延ばしていく。どこまで家庭を、保育を守れるのか」「こんな状態で給食室をなくしたら、子どもたちの食はどうなるのか」と議論を重ね、「給食室を守ろう」「だれもが働き続けられる職場をみんなの手で」「行政、国の姿勢を変えていこう」と話し合われました。
「保育と食事・アレルギー食」の分科会でも、保育所給食の重要性について討論が深まりました。アレルギー疾患を持つ子どもたちは、「一口でも卵を食べたら全身に症状がでる」など、厳格な食事制限が必要な場合が多く、保育所給食室と保護者との連携が何よりも重要です。「命にかかわる給食室を、絶対になくしてはいけない」と、話し合われました。
保育所給食室の職員たちは、地域の親への援助も広げています。セミナーの基調フォーラムで、大阪・吹田市の公立保育所調理師は、地域の親を対象にした「育児教室」について報告しました。家庭で孤独に子育てする母親たちが、調理師たちの援助で、「子どもの食べる量がわかった」など、離乳食や幼児食の大切さなど多くのことを学んでいる様子を紹介しました。
子どもと親を温かく励まし、かけがえのない役割を果たしている保育所給食。ところがいま、保育所給食室の役割を軽視し、これをなくす動きが加速しています。
全国保育団体連絡会の上野さと子さんは、基調フォーラムで怒りを込めて語りました。
「保育所と幼稚園は内容が似てきたから一元化する、幼稚園には給食室がないから保育所の給食室もいらない、『保育所調理室の必置義務』は根拠に乏しいから撤廃したらどうか―。そんな乱暴な議論が、政府の『総合規制改革会議』でおこなわれています」
「総合規制改革会議」が二月十七日、幼・保一元化を、“加速的”に推進する「十二の重点検討事項」の一つにあげたことも紹介し、上野さんは「緊急に、抗議行動を広げましょう」と呼びかけました。
「保育所調理室の設置義務の廃止」は絶対に許さない―。参加者は、大きな拍手で特別アピールを採択し、幅広い共同で、運動をすすめることを確認しました。