日本共産党

2003年2月28日(金)「しんぶん赤旗」

公明党の「公約実現」 これが実態


 公明党は四月のいっせい地方選にむけて、二十三日から「全国遊説」を開始しました。その第一声で「四年前の統一地方選での公約を公明党は全部実現しました。児童手当と奨学金の拡充です」(浜四津敏子代表代行)などと、「児童手当の拡充」と「奨学金の対象拡大」を“実績”として大宣伝しています。医療や年金の制度改悪、母子家庭の命綱である児童扶養手当削減など福祉切り捨ての“実績”にはほおかむりしたまま。来年度からの四兆円負担増にも開き直っています。そのうえで公明党の「実績」宣伝のカラクリをみてみます。

児童手当

財源は庶民向け増税

引き換えに「拡充」とは

 児童手当は、諸外国の制度に比べても貧弱で、公正で抜本的な拡充が求められています。

 ところが、公明党の児童手当「拡充」策は、みずからの「実績づくり」優先で増税とひきかえに実施されてきたのが特徴です。

 たとえば、二〇〇〇年に行った児童手当法「改正」では、三歳未満から就学前までに支給年齢の引き上げが実施されました。これは、前年に「子育て世代への配慮や教育費などの支出のかさむ所得層への配慮」から創設された年少扶養控除特例の廃止と引き換えでした。児童手当拡充の児童三百万人に対して、特例廃止による増税は千九百万人に及び、千六百万人の児童の世帯が負担増となりました。

 二〇〇一年には、所得制限緩和が予算に盛り込まれましたが、財源は「各種補助金等の見直しや、国立病院への繰り入れの削減等により、歳出減をはかる」(坂口力厚労相、〇一年二月二十二日衆院予算委)というもの。結局、他の社会保障予算にしわ寄せがいきました。

 今回の「拡充」は、〇四年度から支給年齢を就学前から小学校三年生までに広げるというもの。これも配偶者特別控除の廃止による七千三百億円の国民負担増のうち二千五百億円をまわす仕掛けです。神崎武法代表も、「配偶者特別控除は、明年平成16年より廃止となりましたが…これによって生まれた財源のうち2500億円を児童手当の支給対象を小学校3年生まで拡大するなど、少子化対策に充てる」(公明新聞一月十九日付)と明言しています。

 配偶者特別控除の廃止では、千二百万世帯が影響を受け、一世帯あたり年間約六万円もの増税になるといわれます。

 “いつも負担増と引き換え”―これでは、制度の抜本拡充とはとてもいえません。

奨学金

抜本改悪に口つぐむ

父母や学生の運動を無視

 公明党は、「希望者全員に奨学金を――との公明党の強い主張を受け、日本育英会の奨学金が大幅に拡充されました」(公明新聞九日付)などと、奨学金の拡充を自分だけの「実績」として宣伝しています。

 しかし、この「実績」には、落とし穴があります。それは、来年四月から予定されている奨学金制度の抜本改悪に口をつぐんでいることです。

 自民・公明政権は、日本の奨学金制度の根幹をなしてきた日本育英会の廃止を決定。奨学金事業をひきつぐ新たな学生支援機関では、重大な制度改悪が検討され、この三月には法案が国会に提出されます。

 昨年十二月に、文部科学省の「検討会議」が提出した報告書では、奨学金を受ける学生が「保証料」を保証機関に支払うシステムを提起。文科省は、年間二万四千円から三万六千円の「保証料」が学生の負担になると説明しています。これでは、奨学金のわずかな増額もふいになりかねません。

 そのうえ、教育・研究職につく大学院生に対する返還免除制度も廃止しようとしています。大学四年間で無利子奨学金を受け、博士課程まで進んだ場合、返還総額は最低でも八百三十万円超、自宅外で私立大学に通った場合は九百二十五万円にもなります。一千万円近い借金を背負ってまで研究者を志すのかという深刻な事態に直面しているのです。こうした改悪案の準備に与党として参加しながら、そのことに一言もふれずに「奨学金の拡充」を実績の「目玉」にすることは公正さを欠いています。

 奨学金の拡充は、公明党の実績というより、父母や学生の粘り強い運動の成果というべきものです。日本共産党も拡充のために国会内外で奮闘しました。

 今年度、無利子奨学金の貸与人数が約一万五千人も削減されましたが、全国各地の大学や奨学金各界連絡会などの運動で来年度は無利子で約二万二千人増、有利子で約四万七千人増という拡充を勝ち取ったのです。「日本育英会の奨学金制度廃止に反対し、拡充を求める各界連絡会議」の署名は四十万人以上、全日本学生自治会総連合(全学連)よびかけの奨学金拡充を求める署名は五万人以上集まっています。

 こうした国民の運動を無視して、与党内折衝で主張したからと、自分だけの“手柄”にすることはできません。


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