日本共産党

2003年2月26日(水)「しんぶん赤旗」

独仏が米英案に反対

ロシア交え査察継続主張


 【ベルリン24日片岡正明】シラク仏大統領とシュレーダー独首相は二十四日、ベルリンで会談し、米英両国が安保理に提案した対イラク武力行使容認の新決議案に一致して反対していくことを確認しました。また仏独ロの三国で国連安保理にイラク問題の平和解決のための査察強化を内容とした覚書を提出したことを明らかにしました。

 シラク大統領は会談後の記者会見で、米英提案について「現状では正当性はない」「平和の論理を戦争の論理に代える理由はまったくない」と明確に否定。シュレーダー独首相も「イラクの大量兵器廃棄は平和的に達成できるという意見だ」と、今後もイラク戦争反対の立場を堅持し、新決議に反対していく方針を確認しました。

 同首相は同時に、イラクが国連査察団の要求を完全に実現させるためにすべての(平和的な)手段を尽くさなければならないと強調しました。

 三国の提案は、新たな決議ではなく国連決議一四四一の範囲内での覚書。シラク大統領は、生物兵器、核兵器、化学兵器を項目ごとに一つ一つ査察を終了させていくと強調。安保理で期限はきらず、国連査察官側が査察の期限を決めると表明しました。

 両首脳は「古き良き欧州が肩を並べていく」と述べ、仏独両国のイラク問題平和解決への決意を改めて示しました。

平和解決求め覚書

仏・ロ・独が国連本部で発表

 【ワシントン24日浜谷浩司】イラク問題でフランス、ロシア、ドイツは二十四日、四カ月の期限を切って、査察強化を通じた平和解決を追求する覚書を国連本部で発表しました。覚書は、中国も支持しているとされます。

 覚書は、平和的解決の道を具体的に国際社会に示し、イラクへの速やかな武力行使をめざす米国の動きを封じる狙いがあります。

 覚書は、イラクの武装解除を平和的に達成することこそ「優先すべきだ」と強調しています。(1)イラクが大量破壊兵器を保有している証拠はない(2)査察は妨害なく実施され成果をあげている(3)イラクの協力に改善がみられる―と指摘。「最後の手段」であるべき「武力行使の条件はそろっていない」と主張しました。

 覚書は、安保理に平和的解決に向けた努力の強化を求め、「安保理の団結」と「イラクへの最大限の圧力」の必要を強調しました。その「現実的な手だて」として(1)査察の明確な活動計画(2)査察強化(3)期限設定(4)軍事的圧力―の結合を指摘。

新決議必要ない

中国外務省

 【北京25日小寺松雄】中国外務省の孔泉報道官は二十五日の記者会見で、米英が二十四日に国連安保理に提出した新決議案について「現在は査察継続こそ焦点である。新しい決議をあげる必要はない」と、明確に反対を表明。孔報道官の発言は、前日に唐家―外相がパウエル米国務長官に述べた内容をさらに強い調子で確認したものです。

 また孔報道官は、フランス、ロシア、ドイツが共同で安保理に提出した査察継続を求める意見書については「同意し、支持する」と述べました。

エジプト大統領、カタール外相が主張

イラク戦争回避を

エジプト

 【カイロ25日小泉大介】エジプトのムバラク大統領は二十四日、主要閣僚の会議を主催し、「エジプトはあらゆる国への外部からの干渉に強く反対する」「アラブ首脳会議は、イラク戦争回避にむけ、アラブが集団的責任を負うために遅滞なく開催されなければならない」とのべ、イラク戦争反対の強い意志と、戦争回避のためのアラブの責任を強調しました。 

カタール

 【ドーハ24日岡崎衆史】カタールのハマド外相は二十四日、ドーハで記者団に対し、「アラブ諸国は、米国との協力関係にもかかわらず、イラクに対する米国による軍事介入を望んではいない」と述べ、イラク攻撃回避を訴えました。ハマド外相はまた、カタールは、イラク攻撃を回避するためにあらゆる努力をすると強調しました。

 イラク攻撃が始まった場合、米軍の前線司令部が置かれるペルシャ湾岸のカタールにはすでに七千人を超える同軍兵士が駐留しており、戦争に反対する国民の反発が高まっています。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp