日本共産党

2003年2月19日(水)「しんぶん赤旗」

“街のことは自分たちの手で”

合併を問う

埼玉4市で同時住民投票 全国初


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 いま全国で、市町村合併をめぐって「自分たちの街のことは自分たちの手で」と住民投票を実施する自治体が増えています。埼玉県の和光、志木、朝霞、新座各市は四月十三日、四市いっせいに合併の是非を問う住民投票を行います。四市いっせいというのは全国初。国による住民不在の押しつけ合併に反対する住民の運動も広がっています。(北関東総局 勝又真史)

 「少子高齢化や借金増のなかで合併は避けて通れない。三千二百の自治体を一千に」

 四市の法定合併協議会(合併協)が新座市で開いた公開セミナー(二日)で、合併推進派の「四市の未来を創造する会」の橋本正彦会長はこう述べました。

 合併協は一月、投票の判断材料として「新市将来構想」を発表。「危機的な国の財政、少子高齢化」など国の言い分をそのまま持ち出し、「サービスは高い市に、負担は低い市に」などと合併後のまちをバラ色に描きつつ、幹線道路や駅中心の開発などの大型事業推進をうたっています。

 セミナーで、橋本氏は自治体の財政危機の原因について、「住民のニーズにあれこれ応えてきた結果が今の借金」と強弁しました。これにたいし、合併反対の「四市合併と和光のまちづくりを考える市民の会」の副島健義代表世話人は「今の借金は、無駄な開発事業の結果。合併すれば開発でさらに借金が膨らむ」と切り返しました。

 推進派の「四市の未来を創造する会」は、合併協に提出した意見書で「安易にサービスは高いところへ、コストは低いところに合わせていくという無責任な対処方法ではなく、サービスを見直すべきところは大幅に削減、または受益者負担の拡大を織り込むべきだ」と、合併が住民サービス切り下げにつながることを容認しています。同会会長の橋本氏も、セミナーで「われわれの世代にメリット(利点)があるとは思わない」と断言しました。

反対運動広がる

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合併の問題点が浮き彫りになった公開セミナー=2日、埼玉・新座市

 推進派も認める、住民負担押しつけの合併にたいして、和光市のほか各市で「四市合併とまちづくりを考える志木市民の会」(須田哲夫会長)、「四市合併に反対する朝霞市民の会」(井島伊三雄代表幹事)、「四市合併に反対する新座市民の会」(菊地作次代表幹事)が結成され、反対の市民の運動が大きく広がっています。

 「新市将来構想」によると、新市の市役所は、現在の朝霞市役所に。朝霞以外の市民団体は、現在の市役所の機能が低下してしまうと訴えています。さらに、同構想は当初、合併したら財政が黒字になるとしていましたが、その後市民の会などの指摘で計算し直したら、十年間で百九十九億円の赤字を抱え込むことも明らかになりました。

公民館が有料に

 ところが、合併協議会が家庭に配布した同構想概要版のカラー刷りパンフレットは、この赤字になる事実には触れておらず、市民から「これでは公正な判断材料にならない」との声があがっています。

 四市合併について、朝霞の井島代表幹事は「市の六十二億円もの積立金を他市の借金返済でなく、市民のために使い、市民の手でまちづくりを進めることが必要」と指摘。志木の中嶋克己事務局長は「市も指摘するように、合併によって市独自に実施している二十五人学級などのすぐれた施策ができなくなる」と訴えます。新座の朝妻幸平事務局長は「無料の公民館が有料化されるなど独自のサービスがなくなることが心配です」と話します。

 四市の市民団体は共同して、合併協にたいし、市民に正確な情報提供を行うことなどを内容とする申し入れを行い、共同のビラを作製するなど「合併反対に○(マル)を」と呼びかけています。

 日本共産党は、同日投票の県議選で、笠原すすむ(新座)、高浦やすひこ(志木)、松岡さちお(朝霞)各候補の勝利に全力。四市合併の問題でも、反対を鮮明にする党の値打ちを訴えています。市議選(四月二十七日投票)がたたかわれる和光市でも党四候補の勝利に力を尽くしています。


4市の合併協

 和光市(七万一千人)、志木市(六万七千人)、朝霞市(十二万二千人)、新座市(十五万人)の法定合併協議会は二〇〇一年、青年会議所などが中心になり住民発議で設置されました。「市民の声を聞け」という要求におされて昨年、住民投票を実施することを提案。四市は昨年十二月議会で、資格を二十歳以上の日本人とすることなどを内容とする住民投票条例を制定しました。住民投票の結果、四市のうち一市でも合併反対が賛成を上回れば、合併協を解散し、合併協議を打ち切ることになっています。


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