2003年2月16日(日)「しんぶん赤旗」
昨年十一月に死去した歴史学者・家永三郎さんを偲(しの)ぶ会が十五日、東京都内で開かれ、家永さんが起こした教科書裁判の支援者や学者ら約五百人が参加しました。大田堯、永原慶二、遠山茂樹、大江志乃夫、兼子仁、暉峻淑子の各氏ら、十九人が呼びかけたもの。
会では、関係者が家永さんの人柄や支援運動の思い出を語りました。
東京教育大学で家永さんの教え子だった高校教師は、学問にたいする家永さんの誠実な姿勢にふれながら、「先生が追求した民主主義の実現のため、一人ひとりがやれることをやりたい」。
一九六五年に裁判が始まったときから支援を続けてきた伊藤文子さんは、母親たちが宣伝や集会、裁判傍聴など草の根の運動を広げていった体験を語り、裁判が終わった日に家永さんは笑顔で「あなたも休みなさい」といってくれたと紹介。「憲法・教育基本法を守り、再び戦争をする国にならぬよう力を合わせます」とのべました。
江村栄一(歴史学)、小林直樹(憲法学)、堀尾輝久(教育学)、尾山宏(弁護士)の四氏が各分野での家永さんの業績について講演。「国家の権力的介入を戒めた教育基本法の改悪の動きが出ているだけに、今一度その意義を確認し、家永さんの精神をついで、それを発展させることが重要性を増している」(尾山氏)など教科書裁判の今日的意義を語りました。
歴史学者の直木孝次郎さん、映画監督の神山征二郎さんが、家永さんへの思いを語りました。