2003年2月3日(月)「しんぶん赤旗」
【ワシントン2日浜谷浩司】米中部時間一日午前八時(日本時間同日午後十一時)に米テキサス州上空で空中爆発した米スペースシャトル「コロンビア」(乗員七人)の機体は、同州東部からルイジアナ州にかけての広い地域に落下し、乗員全員が死亡しました。テキサス州東部のヘンフィルでは同日、乗員のものとみられる遺体の一部が見つかりました。二十二年におよぶ米スペースシャトル計画でも、有人宇宙飛行の歴史においても、「チャレンジャー」事故と並ぶ最悪の事故となりました。
事故は今後のスペースシャトル計画に重大な影響を与えるとみられます。コロンビアはスペースシャトル四機のうち最も古く、一九八一年の初飛行以来、二十八回目の飛行でした。
しかし、米航空宇宙局(NASA)担当官は老朽化が原因との見方を否定。原因究明には、かなりの期間を要するとみられます。
シャトルを覆う断熱タイルに原因があるとすれば、問題は機体の構造に発展しかねません。シャトルの次回飛行が遅れることは必至で、国際宇宙ステーション計画にも影響があるとみられます。
事故は米国民に衝撃を与えました。ブッシュ大統領は同日午後、テレビ演説で悲しみを語りました。スペースシャトル計画の安全性や科学予算をめぐって政治問題化する可能性もあります。
【ワシントン2日浜谷浩司】スペースシャトル「コロンビア」は米テキサス州の六万三千メートル上空で分解し、墜落しました。速度は時速二万キロ以上。大気摩擦で機体表面の温度は一五〇〇度を超えるといいます。何が起きたのか。
飛行を管理する米航空宇宙局(NASA)は、テキサス州ジョンソン宇宙センターで一日午後二時半(米中部時間、日本時間二日午前五時半)過ぎから記者会見。スペースシャトル計画部長のディットモア氏が、空中分解が起きた午前八時(同)直前の状況を明らかにしました。
それによると午前七時五十三分、左翼の油圧システムに取り付けられた温度センサーからのデータ送信が途絶。七時五十六分には左側の着陸装置の温度が上昇。さらに、通信が途絶えました。NASA側は飛行管理に問題はないとし、機体の異常が原因との見方を示唆しました。
温度データが失われた時点で、機体は異常な高温に達したとみられます。その原因とみられているのがシャトル表面を覆っている断熱タイルの脱落です。重要部分のタイルが脱落し、周囲のタイルがジッパーを開くように次々に脱落した可能性も指摘されています。
「コロンビア」は十六日の発射時に、外部燃料タンクの断熱材が脱落し、機体の左側に衝突したことが分かっています。NASAは発射時の事故が影響を及ぼした可能性を排除しないとしています。
専門家の間では、再突入時の角度を誤り、機体に過度の圧力がかかって分解につながった可能性を指摘する声もあります。
米スペースシャトルの1号機として一九八一年四月に初飛行。以来、二十二年近く使用され、運用中のシャトル四機のうち最も古い。九九年七月には、打ち上げ時に液体水素燃料漏れが見つかり、エンジン制御装置の故障が原因と判明。四機のシャトル飛行すべてが、一時延期になったことがあります。日本人宇宙飛行士では九四年七月に向井千秋さん、九七年十一月に土井隆雄さんがそれぞれ乗り組みました。