日本共産党

2003年2月2日(日)「しんぶん赤旗」

ドイツ反核医師ら行動

対イラク先制攻撃は戦争犯罪


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1月31日、雪の中、ベルリン市内でイラク戦争反対を訴える医師たち(片岡正明撮影)

 【ベルリン31日片岡正明】米国の対イラク軍事攻撃の姿勢がますます鮮明になる中、一月三十一日、ドイツの首都ベルリンでイラク戦争反対行動が行われました。スイスのジュネーブでも同日、青年ら四千人が戦争反対集会を開きました。

 ベルリンでは雪の中、米大使館前で核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部の医師約六十人が、道行く市民や観光客に米国の対イラク先制攻撃の阻止と戦争の悲惨さを訴えました。

 医師の一団は白衣姿で、「先制攻撃戦争は最大の戦争犯罪」「先制攻撃の禁止は文明のもっとも重要な成果」「テロに打ち勝つのは戦争によってではない」と書いた横断幕やプラカードを掲げました。先制攻撃が起こったらこうなると、爆弾で亡くなった遺体や負傷者にふんし、救急車が駆けつけるという寸劇もまじえて宣伝しました。

 IPPNWドイツ支部報道担当のウテ・ワルターマン氏(女性)は「イラクでは経済制裁のため、薬や食料が不足して今もたくさんの子どもが死んでいる。爆弾で死ぬのは子どもや妊婦、年寄りや病人です。戦争ではわれわれ医者も援助にいけない。野蛮な先制攻撃戦争は許せません」と語りました。

 一方、同日、ベルリンのドイツ国防省前では、ドイツ政府がイラク戦争反対を表明している一方で、ドイツ国内の米軍の基地の使用や上空飛行は認めていることに約百人が参加して抗議しました。

 ジュネーブからの報道によると、この日、ジュネーブでも国連施設の前で四千人の高校生や青年がイラク戦争反対を訴えて集会を開きました。

 ドイツなど欧州各国では二月十五日に国民の意思を示しイラク戦争を防ごうと、大規模な反イラク戦争行動を計画しています。


オーストリア 1000人がデモ

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1月31日、イラク戦争反対を訴え、リンツ市内をデモ行進する人々(岡崎衆史撮影)

 【リンツ(オーストリア・オーバーエスタライヒ州)31日岡崎衆史】オーストリア第三の都市リンツで一月三十一日、イラク攻撃に反対するデモ行進が行われ、若者を中心に千人を超える人々が参加しました。平和団体や労働組合、緑の党、オーストリア共産党などが加わる「戦争阻止プラットホーム」が主催しました。

 デモが始まった三十一日夕刻のリンツ市内は、小雪が降りしきり、じっとしていられないほどの寒さ。にもかかわらず、仕事や学校を終えて集まった参加者は、「戦争反対」「石油のために血を流させるな」と大声で訴えながら、市中心部を約一時間半行進しました。沿道の買い物客からは、連帯の手を振る姿もみられました。

 参加者のリンツ大学で社会学を学ぶセベリン・ブルンナーさん(20)は、「戦争によって解決された問題などこれまで一つもなかった。たくさんの人命が奪われるだけだ」と怒ります。高校生のドロテア・ブラントさん(17)は「超大国のアメリカは、軍事力で何でも解決しようとしている」と、ブッシュ米政権を批判。労働組合に勤めるカルメン・ヤンコさん(24)は「戦争で最も苦しむのは普通の市民や労働者です。とくに、軍事費増大によって、貧しい人のための福祉政策が破壊される」と述べ、「問題は平和的に解決されるべきです」と強調しました。

 国民の九割以上が戦争に反対しているオーストリアでは、米国が対イラク強硬姿勢を強めるなか、一月末、シュッセル首相が戦争不参加を表明したほか、労働組合など有力団体が相次いで戦争反対を表明。二月にも、地方都市や首都ウィーンで複数のデモが計画されるなど、反戦の機運が高まっています。


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