日本共産党

2003年1月22日(水)「しんぶん赤旗」

不良債権2兆円を処理

みずほ 今年度中に実施

1兆円増資を正式発表

倒産、失業に拍車


 みずほホールディングス(HD)は二十一日、今年度中に二兆三百億円の大幅な不良債権処理を実施すると発表しました。小泉内閣の不良債権処理の加速策を受けたもので、企業倒産や失業がさらに増加することが懸念されます。

 みずほHDは、この結果、二〇〇三年三月期の連結最終赤字は一兆九千五百億円に拡大するとして、一兆円程度の増資要請に踏み切ることを併せて発表しました。

 大手銀行グループは相次いで増資を柱とする経営強化策を発表していますが、一兆円というのは例のない巨額増資です。公的資金注入による一時国有化の道は避けるため、「自力」で不良債権処理の加速をはかる思惑が働いているものと思われます。

 記者会見したみずほHDの前田晃伸社長によると、引き当て水準の「厳格化」などにより、今年度下半期の不良債権処理額を七千二百億円増額し一兆七千六百億円とする計画です。この結果、今年度の不良債権処理は当初予定より九千九百億円増え、二兆三百億円に達します。保有株式の削減も推進する方向で、今年度下期に従来計画を三千億円上回る一兆円の売却を実施するとしています。

 これらの財務処理に伴い、赤字幅が当初予想の二千二百億円から一兆九千五百億円へと大幅に拡大する見通しです。このため、みずほHDは今年度中に主要取引先に対して一兆円程度の増資要請に踏み切ります。増資完了後の自己資本比率は9%以上を確保するといいます。

株価7200円でも自己資本8%
みずほHD社長

 みずほホールディングス(HD)の前田晃伸社長は二十一日の記者会見で、二〇〇三年三月期中に保有株式を大幅に圧縮する結果、「日経平均株価が七二〇〇円まで下がっても(連結)自己資本比率は8%を維持できる」との見方を示しました。

 金融機関経営者が、国際業務を手掛ける民間銀行に求められる「自己資本比率8%」を維持できる株価水準を公言するのは異例。市場からは逆に「8%割れの水準が示された」(市場関係者)との受けとめも出ています。

 増資の要請先について前田社長は「決まっていない」としていますが、筆頭株主の第一生命保険をはじめとする国内の取引企業や、海外の機関投資家などになるとみられます。

 みずほHDは、西武百貨店やハザマなど支援策を相次いで取りまとめており、今期中に不良債権処理のめどを付けたい意向です。


前田社長の記者会見

 みずほホールディングスの前田晃伸社長による記者会見での一問一答は次の通り。

 ―一兆円規模の増資実現の見通しは。

 定款変更がまだで、具体的な勧誘活動ができる状況ではない。ただ多数の親密取引先から熱い視線を送ってもらっており、金額については心に期するものがある。

 ―増資の形態や条件は。

 何も決めていないが、私の感じでは優先株が中心になると思う。市場の実勢に近い配当利回りで調達したい。

 ―融資先など銀行の優越的地位を使った増資には批判的な見方があるが。

 そのような指摘を受けないよう対応する。

 ―来期以降も大幅な不良債権処理損が出る可能性は。

 企業再生が進めば、みずほコーポレート銀行ではさほど処理損が出なくなるが、みずほ銀行はリテール中心で、景気全体が良くならないと処理コストは減らない。ただ今回の処理見通しは統合後の新しいスタッフで見直しており、前倒しで目いっぱいやった。従来と違いかなり高い確度で手当てができている。来年度の処理損は四千億円を切ると思う。


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