2003年1月17日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン15日浜谷浩司】「愛するジョーのためにも、戦争をやめるように訴えています」――声をつまらせたナンシー・レシンさん。海兵隊員の息子がアラビア語通訳として湾岸に派遣されています。
湾岸戦争十二周年にあたる十七日を前に、軍人の家族を持つ人々と湾岸戦争の退役軍人グループが共同で十五日、ワシントン市内で会見。「対イラク戦争は必要でも、不可避でもない」とブッシュ大統領の戦争政策を批判しました。
退役軍人の会を主宰するエリック・グスタフソン氏(元工兵)は、湾岸への派兵が近く十五万人規模に達する中で「戦争が迫っている」と指摘。「イラクが米国の直接的な脅威だという証拠は何一つない」として、「国連決議に従い外交で解決すべきだ」と主張しました。
チャールズ・シーハンミルズ氏(元陸軍戦車隊員)は、イラクの首都バグダッドに侵攻し長期に占領するというシナリオは、湾岸戦争とは異なり大きな犠牲が出ると警告。陸軍特殊部隊員だったスティーブ・ロビンソン氏は、サリンなどの化学物質や劣化ウラン弾による米兵の健康被害を語りました。
「息子が傷つかないでいてほしい。そして、だれも傷つけないでほしい」。陸軍少佐の息子がクウェートにいるステファン・クレグホーン氏。そのよびかけに、ナンシーさんが深くうなずきました。
十八日にはワシントンを中心に全米でイラク戦争反対の集会が開かれます。退役軍人の会のグスタフソン氏は「団体としては名を連ねていないが、メンバーの多くは個人として集会に参加する」と述べました。