2003年1月6日(月)「しんぶん赤旗」
毎年三兆円近い揮発油税(ガソリン税)など車の利用者の税金からなる道路特定財源の見直しは、小泉「改革」の目玉の一つでした。しかし、昨年末に政府が決めた来年度予算案では「使途の多様化」は名ばかりで道路関係に充てる方向です。国交省、自民党道路族議員の狙いどおりにされようとしています。
〇三年度の道路特定財源は税収見込みで約二兆八千億円になりますが、公共事業費3・9%の削減で約三千二百億円も余剰になります。しかし、この分も社会保障などにもつかえる一般財源にはせず、高速道路建設に流用したり、本州四国連絡橋公団の巨額債務処理にあてようとしています。
政府・与党は〇五年度からの道路四公団民営化にともない、民営新会社がつくらない不採算の高速道路をつくるため、来年度から「国と地方の負担による新たな直轄事業を導入」(国交省の予算説明)します。
その財源に道路特定財源をあてます。総事業費約三兆円が目安で十五年間にわたり、国と都道府県が三対一で負担します。〇三年度は、直轄方式での建設に千三百億円(国一千億円、地方三百億円)を投入。前年度と同じ額を確保した道路公団分とあわせて高速道路建設費は増額され、建設ラッシュが起きようとしています。
この地方負担に対応する分として年約四百五十億円、市町村道の補助金の原則廃止に対応する分として年約四百五十億円を自治体に税源移譲します。具体的には、車検のとき納めている自動車重量税の、国から地方への譲与割合を四対一から三対一に引き上げます。
本州四国連絡橋の債務切り離しにも道路特定財源を投入します。
三本の橋を建設・管理してきた本四連絡橋公団の債務は、三兆五千五百億円にも達しています。この債務のうち一兆三千四百億円を切り離し国の一般会計に入れて、道路特定財源(自動車重量税の一部)で処理します。〇三年度は二千二百四十五億円を計上しました。
本四公団の破たん状態は、歴代自民党政府が過大な交通量予測をもとに、巨額の資金をかけ三本の架橋を建設した結果です。その責任には口をつぐんでいます。
国交省はこのように道路特定財源のつかい道を同省の枠内にとどめたうえに、高い現行の暫定税率を六年余延長することにしました。財源の約八割を占める揮発油税なら暫定税率四十八・六円(一リットル当たり、本来は二十四・三円)と二倍の税金が継続となります。
これによって、〇三年度からの「道路整備五カ年計画」の財源上の裏付けをえました。「今後五カ年間における道路整備の事業の量については、…三十八兆円を目安とする」(国交省の説明)
長期不況で国全体の税収が減っても、道路建設には五年間にわたり国・地方の総計で年八兆円近い額が安定してつぎこまれます。まさに特権的な扱いで、ここに道路利権を維持したい自民党族議員が特定財源の存続に執着する理由もあります。
いまの車社会は交通事故、排ガスによる大気汚染をはじめ社会的負担をもたらしており、車にかんする税金だからといって、道路整備だけに特定する理由は薄れています。
日本共産党は二十年以上前から、揮発油税などを普通の税金と同じく使途を限定しない一般財源とすることを主張。道路特定財源は廃止して、社会保障や教育、生活密着型の公共事業にも使えるようにするべきです。