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2019年12月16日(月)

きょうの潮流

 「逃げるは恥だが役に立つ」。そんな題名のテレビドラマが以前はやりました。ハンガリーのことわざからとったそうで、恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切という意味で使われていました▼ないないづくしの“逃げ恥”作戦を展開―。「桜を見る会」で数々の疑惑が投げかけられている安倍首相。招待者の名簿をはじめ、何もかもなかったことにして逃げ切ろうとする態度がドラマのタイトルを呼び起こしました▼「日本人の生活において恥が最高の地位を占めている」。米国の文化人類学者ルース・ベネディクトが『菊と刀』で「恥の文化」を分析したように、日本には古くから恥ずかしい、恥になるという感情が人びとの生き方の底流にありました▼恥の字には、心が耳のようにやわらかになるという語意があります。自分になにかやましいことがあると、心や思いが縮まるとの意味があるそうです(向坂寛〈さきさか・ゆたか〉『恥の構造』)▼安倍・自公政権ができてから7年がたちます。ふり返れば首相が掲げた「美しい国」は、不正と偽りに満ちたみずからの言動によって「恥ずかしい国」へ。恥を恥とは思わず、恥を塗り重ね、生き恥をさらす。社会に害悪をまきちらす醜態です▼「清貧の思想」を残した作家の中野孝次さんは道徳的な堕落を批判しながら日本文化の美徳を説きました。恥を知る、利欲に生きることを恥じる、人としての品性を何よりも重んじる価値観があった。そこに、人間を大切にする世をとりもどす希望があると。


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