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2019年12月5日(木)

きょうの潮流

 驚きました。圧倒的な情報量。ページ数にして32ページの絵本が、2時間余の大作になろうとは。松元ヒロさんの原作、坂手洋二さんの台本・演出による新作「憲法くん」(東京=座・高円寺で8日まで)です▼主人公は、憲法が施行された日に生まれた憲法(かずのり)くん。物語は72歳の憲法くんの歩みを縦軸に、憲法にまつわる諸問題をはさみながら展開します。死刑制度、武器見本市、入管、沖縄、米軍機訓練の移転候補地・馬毛島(まげしま=鹿児島県)、中東派遣、桜を見る会…。紹介される条文は10以上。要は憲法くんが「心臓」と呼ぶ13条(個人の尊重)です▼例えば同性婚。憲法くんは同性カップルに「両性の合意のみに基いて成立」という24条の婚姻規定は同性婚の否定ではない、と説きます。14条の「法の下の平等」原則に従って解釈されるべきで、当事者どうしの合意があればいいのだと▼憲法は国家と個人の関係の原則だから、具体的な問題の解決には法律の整備が必要、あとは政治の問題と提起します。しかし史上最悪の首相の下で憲法くんは疎外され、ついに行方不明に…▼キーパーソンはマルクスさん。「肝心なのは世界の変革である」と憲法くんを励まします。「憲法くん、町へ出よう。これからの世界は君にかかっている」。坂手さん曰(いわ)く「憲法最良のパートナーはマルクスです」▼結びが実に明るい。力強く歩む憲法くんの足音が聞こえてくるようです。“全重量”をかけたであろう作り手と演じ手に拍手を送りたい。


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