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2019年11月22日(金)

きょうの潮流

 州議会の議場に水が押し寄せたのは地球温暖化対策の予算案を否決した直後でした。まったく皮肉な出来事と言うしかありません▼イタリア北部ベネチアが記録的な高潮に見舞われました。市内の8割超が浸水し政府は非常事態を宣言。現地メディアは水に沈むテーブルやいすを前に生活再建への不安を語る住民の様子を伝えています▼過去50年で最悪の高潮となった日、ベネチア市内の州議会では右派与党が温暖化対策の予算案を否決。水はまるでそれに抗議するかのように流れ込みました。「否決から2分後に議場が浸水した」と野党議員。靴下やズボンをぬらしながら全員が避難を余儀なくされました▼もともと潟の上につくられたベネチアでは洪水は頻繁に起こります。今回は暴風雨が重なったことや浸水対策事業の遅れなどが原因とされます。ただ洪水の頻度は年々増加傾向にあります。背景に地球温暖化による海面上昇を指摘する専門家は少なくありません▼干ばつ、豪雨、巨大台風。地球温暖化の影響とみられる異常気象は世界各地で猛威を振るっています。イタリアの気象当局は温暖化が進むなかで「ベネチアのような異常事態はさらに増える」と警戒を呼び掛けました▼今回の洪水で少なくとも1人が死亡。被害額は約1200億円に上ります。「家が火事になったかのように行動して」(スウェーデンの高校生環境活動家グレタさん)。この訴えに見合った温暖化対策が必要です。安心して暮らせる地球を次世代にわたすために。


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