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2019年1月21日(月)

きょうの潮流

 今日は宮本百合子の68回目の命日です。冬晴れの昨日、東京の小平霊園で墓参会が開催。「宮本百合子」とペン字で刻まれた端正な墓に、集まった人たちが手を合わせました▼墓参会世話人の柏木和子さん(83)は日本共産党の元所沢市議です。「百合子を読み始めたきっかけは15歳のとき、姉に誘われて百合子の葬式に行ったことです。すごい葬式で、たくさんの人が悲しみに包まれていました。子ども心に大事件だと思いました」▼長年百合子を読んできて、いちばん好きな作品は『道標』。手元の新日本文庫はぼろぼろです。1920年代のソ連とヨーロッパで3年間過ごした体験をもとにした遺作。柏木さんは昨秋、ロシアをまわる『道標』ツアーで案内役を務め、帰りにパリに足を延ばしました▼『道標』の主人公・伸子は、フランスで第1次大戦の激戦地ヴェルダンを訪ねます。2万の十字架の墓標を前に、「フランスのために死せり」とは「フランスの誰のためだ?」と問いかけます。「戦争の犠牲の裏で資本家がもうけていることに百合子が気づくのがフランスです」と柏木さん▼百合子は帰国後、平和と民主主義のたたかいに参加し、日本共産党に入党。幸福とは「昼寝の子猫のような姿」ではなく、「船の舳(へさき)が波をしのいで前進してゆく、そのときの困難ではあるが快さに似たものだ」と書きました▼「平和は眠りを許さない」と、戦後も戦争挑発者たちとのたたかいを訴えつづけた百合子。その生涯と文学は今も輝いています。


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