しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年12月20日(木)

きょうの潮流

 日本最後の航空母艦とされる「葛城」は皮肉な運命をたどりました。すでに敗色濃厚となっていた1944年の10月に竣工(しゅんこう)。次々に空母を失うなかで雲龍や天城とともに急造されました▼もはや載せる飛行機も搭乗員もいない状態。出撃の機会もなく、広島の呉軍港に待機していたときに何度も空襲をうけます。しかし致命傷には至らず、最後まで残存しました(『日本の空母』)▼終戦後その葛城が大活躍します。復員艦として南方各地に送られ、数万の人たちを内地に運びました。戦争中は外洋に出ることがなかった空母が、平和の足音とともに何度も太平洋を行き帰る。わずかにつながった命と生きる希望をのせて▼それから70年余。日本は憲法で禁じられてきた空母を再び保有する道にふみだそうとしています。安倍政権は海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を改修、最新鋭の米戦闘機を搭載して発着できる空母化をめざすと防衛大綱・中期防に明記しました。呼び方までごまかして▼計上した5年間で27兆円超の軍事費は過去最大。「専守防衛」をたてまえとしてきた自衛隊を、米軍と一体となって戦争できるように強化。宇宙やサイバーまで、あらゆる分野で軍拡を加速させています▼戦闘ではなく、人々の救出に尽くした“最後の空母”は終戦から2年後に大阪の日立造船桜島工場でひっそりと解体されました。その跡地はいま、大勢でにぎわうユニバーサル・スタジオ・ジャパンに変わっています。この幸せがいつまでも続くようにと。


pageup