しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年12月19日(水)

国会審議を身近に パブリックビューイングの取り組み(上)

大阪PV食堂

もっと政治に関わりたい

写真

(写真)大阪PV食堂のメンバー=16日、大阪市

写真

(写真)スペースを借りて行った上映会=16日、大阪市

 国会審議をわかりやすく紹介して、国会で何が行われているのかを広めようとする「国会パブリックビューイング」(国会PV)の取り組みが、全国に広がっています。各地を訪ね、いま取り組んでいる人やこれから挑戦しようとしている人に思いを聞きました。(前田智也)

 大阪には、「大阪PV食堂」というグループがあります。メンバーは、自営業の40代男性、はたはたさん、30代の会社員女性、いしいしさんと、40代の会社員女性、くるくるさんの3人。全員がほとんど初対面で、憲法などをテーマにしたイベントの席で偶然出会ったことをきっかけに始めました。

人任せではダメ

 「大阪でも国会PVをやりたい」と最初にいったのは、いしいしさんです。安保法制が強行採決された15年ごろから政治がおかしいと思っていましたが、とくに行動はしてきませんでした。今年、「働き方改革」をめぐる国会審議や政治全般を見て、「誰か任せではダメ。見ているだけではいけないと思い呼びかけてみました」。

 はたはたさんは、憲法をテーマにした著者イベントを大阪市内で開催したときに、参加者だった、いしいしさんから声をかけられたといいます。「もともと、政治にもっと市民が関わりたい、政治について気軽に話せる場所がほしい、と考えていました。そんな時に誘われ、国会PVのみんなで考えるというコンセプトもいいなと思って賛同しました」

 くるくるさんは、8月に京都で行われた国会PVの上映会に「大阪から近いし、行ってみようか」と参加。そこで、いしいしさんに初めて出会ったことがきっかけでした。「国会PVは画期的だと思いました。そこまで政治に詳しくない私でも、よくわかる」

主権者は私たち

 これまで特にデモなどに参加したことはなく、「ツイッターで国会などの様子を見ているだけでした」。政治に関心を持つようになったのは15年。「職場でタイピングの練習をするよういわれ、打ち込む文章がなぜか日本国憲法だったんです。はじめて内容をちゃんと読んで感動しました」。安保法制をはじめ、憲法を壊そうとする安倍政権は許せないと思うようになったといいます。

 「主権者は私たち。いま国会で多数を占めている人たちには政治を任せておけないし、選挙だけではなく日常から政治に関わりたい。そのためにまずは、みんなで国会を見て話したい」と、いしいしさん。

 「大阪PV食堂」は11月から毎月取り組みを開催。これからも、大阪市内を中心に活動を広げていきたいとしています。(つづく)

「パブリックビューイング」とは?

 国会パブリックビューイング(国会PV)の取り組みは、法政大学教授の上西充子さんらが始めました。街頭では、6月15日にスタート。通常国会で「働き方改革」関連法が大きな焦点となっていたときです。東京・新橋SL広場で、同法をめぐる国会審議でのでたらめな与党答弁を、上西さんがマイクで解説を交えながら上映。仕事帰りのサラリーマンが何人も立ち止まっていました。

 国会PVは、この取り組みの目的について、「国会審議の様子を街角で上映することで、『国民の代表機関』の実態を多くの人たちに向け可視化」することだと紹介。「甚だしく不誠実で民主的議論の精神にもとる行為への抑止効果を発揮していく」ことをめざしたいとのべています。

 とりわけ国会で、安倍首相をはじめとする与党が意図的に論点をずらして不誠実な答弁を繰り返していることを、上西さんがツイッター上で朝ご飯に例えながら紹介。それをブロガー・マンガ評論家の紙屋高雪さんが「ご飯論法」と命名。それを上西さんが引き取って拡散し、国会でも言及されるなど大きく広がりました。

 「ご飯論法」は、今年の「2018年ユーキャン新語・流行語」大賞のトップ10を受賞。上西、紙屋の両氏が共同受賞しました。


pageup