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2018年12月6日(木)

きょうの潮流

 同じ川の水をめぐって争うもの。ライバルの語源がラテン語の「小川」にあり、水の奪い合いから生まれた言葉だと、最近読んだ吉田修一さんの『ウォーターゲーム』で知りました▼現代の水道事業を柱にした小説は民営化の利権に群がる政治家や国内外の企業、暗躍するスパイの姿を描いたもの。いま水資源の確保は多くの国の死活問題です。国連も2025年までに世界の3分の2の人々が水不足の危機に陥る可能性を示唆しています▼生命の源、水。この限りある資源をビジネスにした市場も世界規模でひろがっています。各国の水道民営化に伴い、水メジャーといわれる国際的な巨大企業が各地に進出。次々に事業を展開しています▼日本でも自治体が水道事業を民間任せにしやすくする法案が国会で問題になっています。ここでも安倍政権はまともに審議しないまま、数の力で押し通そうと。水道料金の値上がりや水質の悪化といった民営化の弊害が相次ぎ、世界では公営に戻す流れが進んでいるのに▼00年から15年まで37カ国235の水道事業が再公営化されている、この流れは加速度的に増している―。共産党の倉林明子議員が撤回を求めました。「水は人権、自治が基本」というのが教訓だと迫りながら▼ライバルの源には「同じ川を共同で使うもの」との意味もあります。いまでは互いに高め合う存在としても。ともに手を携え、命の水をどう守っていくか。利権や奪い合いの対象にするのではなく、誰もが安心して飲めるように。


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