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2018年12月3日(月)

きょうの潮流

 泣く子はいねがー、怠け者はいねがー。大みそかの夜に恐ろしげなお面をかぶって家々を回り、叫びながら子どもたちを脅す「男鹿(おが)のナマハゲ」。神の使いとされ、悪霊や厄災をはらい清めるといわれます▼寒い冬場に囲炉裏(いろり)に長く当たっていると「なもみ」や「なまみ」と称される火だこができる。無精者の象徴とされるそれを出刃や鉈(なた)で剥ぎ取る。それがナマハゲの語源だそうです▼秋田・男鹿半島の伝統行事ですが、各集落によって面の姿かたちや作り方も違えば、細かい所作やしきたりも異なります。保存意識にも差があり、地元紙によると148町内会のうち、過去30年間にやめたところが35もありました▼そのナマハゲをはじめ、東北から沖縄まで8県の10の行事がユネスコの無形文化遺産に登録されました。「来訪神 仮面・仮装の神々」として。それぞれの地元では関心が高まり、伝承や保護活動にも弾みがつくと喜びの声がひろがっています▼共通するのは過疎化や少子高齢化に伴う担い手不足。そこには地方の疲弊が重くのしかかっています。男鹿市野石で青年会主体のナマハゲづくりを手伝ってきた共産党市議の安田健次郎さんは、なんとか伝統を守りたいという切なる声を聞いてきました▼「問題の根っこには、中央集権のもとで地方がさびれ、職を求めて若者が出て行ってしまう悪循環がある」と安田さん。各地で時代をこえて伝わってきた行事を政府が本当に残したいと思うなら、もっと地方回帰に力を尽くすべきだと。


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