しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年11月20日(火)

きょうの潮流

 巨大な右手がたいまつを握っています。米国国旗をあしらい武器や新基地、日本の農業をつぶす協定を上に乗せて。その下には恭しく受け取ろうとする安倍首相が描かれています▼題は「トランプ大統領の手」。本紙に載った倉田新さんのひとコマ漫画です。鋭い風刺と笑いの効いた政治漫画の類いが日本で花開いたのは戦後になってから。しかし戦前も、権力を恐れさせる命をかけた漫画がありました▼「満州事変」の直前に刊行された、まつやまふみおの「ハンセンヱホン 誰のために」はその代表作。侵略の仕掛けや軍国日本の実態を暴き、反戦を呼びかけました。本欄でも紹介しましたが、今年87年ぶりに復刻され、いま日本共産党の本部ビルで作品展が開かれています▼発行即発禁。親交のあった漫画評論家の石子順さんは「瞬間的に本質が見えてくる。これが広がったら、という怖さが軍部や政府にあった」。海外派兵や軍備拡張、改憲を推し進める安倍政権のもと、よみがえらせた意味は大きいと▼まつやまの地元で版画などを普及してきた長野・上田市の平林堂書店には、買い求める人が今も。軍用機が覆う黒い空の下で少女が耳をふさぐ「わたしはひばりがききたい」をはじめ、現代に生き続ける作品は多いと社長の平林幹夫さん▼内なる邪悪、不義、不正、汚辱までも摘発する剣のように―。まつやまは生前、漫画家であることの先進性をこう語っていました。その熱い志と数々の漫画が警告したものは今日につながっています。


pageup