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2018年11月19日(月)

きょうの潮流

 塹壕(ざんごう)の中で兵士たちが歌います。「何で俺らはここにいる―それが知りたい!」。先日見た演劇「銀杯」の一場面です(東京・世田谷パブリックシアターで25日まで)▼アイルランドの劇作家ショーン・オケイシーが1928年に書いた反戦悲喜劇。主人公のハリーはフットボールの花形選手です。第1次世界大戦で負傷して下半身不随になり、戦後は自暴自棄の生活に。人々は彼を置き去りにしたまま、戦争を忘れダンスパーティーに興じます▼演出の森新太郎さんは「戦場から戻ってきた兵士たちには居場所がない。今の日本でも少数が多数によって押しやられる状況がしばしば見られます」と。被爆者、沖縄、福島…いくつもの現実が頭をよぎります▼かつて加藤周一は「映画は我を忘れさせ、演劇は我を振り返らせる」という趣旨を書いていました。「銀杯」のような海外の古典だけではありません。先月上演された瀬戸山美咲さんの新作劇「わたし、と戦争」も帰還兵の疎外感がテーマでした▼こちらの舞台は近未来。主人公は女性の帰還兵。戦争ができる国になった日本で、社会にとけこめない元兵士たちが社会問題になるという設定です。安倍政権への危機感が明らかでした▼今月は第1次大戦の終結から100年です。「銀杯」の兵士たちはなぜ塹壕にいたのか。台本のト書きにこうあります。「彼は投票所に行くのと同じくらいあまり考えずに塹壕に行った」。皮肉のなかに教訓がはっきり読み取れます。後悔する前に選挙で反撃をと。


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