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2018年11月15日(木)

きょうの潮流

 朝から晩まで、ひたすら牡蠣(かき)をむく。そんな姿を追ったドキュメンタリーを前に見た覚えがあります。瀬戸内の町に外国人実習生として来た中国人たち。日本語もわからず、働くだけの日々を送っていました▼彼らの働かせ方が社会問題になってきた頃、ジャーナリストの安田浩一さんが中国の職業学校を訪ねています。日本に来る前に技術を学ぶための学校ですが、そこでまず目にしたのは学生が延々と腕立て伏せをしている光景でした▼理由を校長に尋ねると、日本で研修や実習をするには必要なんだと。「忍耐と根性」をつけることが。それがなければ日本では働くことができないと教えている現場をみて、安田さんは暗たんたる気持ちになったといいます▼外国人労働者の受け入れを拡大するための入管法改定案が衆院で審議入りしました。政府は今後5年間で最大34万人を飲食や清掃、建設や農業、介護など人手が不足している業種で働かせたいとしています▼財界や安倍政権は彼らを人として受け入れるのではなく、労働力としかみていません。長時間過密労働、低賃金。暴力やパワハラ、セクハラ。恋愛や妊娠も禁止され、トイレの回数さえ制限される職場も…。過酷な実態を放置したままで今国会の成立を急いでいることからも明らかです▼差別や抑圧、不当な搾取。人間らしい労働や人権を守るたたかいの原点が横たわっています。「もう日本には来ない」。彼らの叫びは、すべての働くものの権利と、この国の形を問うています。


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