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2018年9月26日(水)

きょうの潮流

 ニューヨークを流れるイースト川沿いに立つ国連本部。1階のロビーには歴代事務総長の肖像画が並びます。先に訪れたとき、ある人の下に花輪と花束が飾られていました▼先月80歳で亡くなったコフィ・アナン氏です。アフリカのガーナ出身で国連の職員から初めて事務総長に選ばれ、2006年まで2期10年にわたって務めました。ノーベル平和賞も受け、「国連に新しい生命を吹き込んだ」と評された人物です▼在任中、国連を無視してイラク戦争を強行した米政権の単独行動主義をきびしく批判。「国際社会を脅かす事態への対応は、国連安保理事会の承認によってのみ正当化される」と強調しました▼いま世界の首脳が集まる国連総会が開かれています。グテレス現事務総長はアナン氏の追悼式典で「彼は根っからの多国間主義者だった」とたたえ、国際協調の大切さを訴えました。一方で、多国間主義が揺さぶられているとし、一国主義的な動きを戒めました▼中国をはじめ、各国と激しい貿易戦争をくりひろげている米国のトランプ大統領。制裁や脅しの「強制外交」は対立や反発を招いています。親密ぶりをふりまく安倍首相にも輸入を拡大しろと盛んに▼第2次大戦後、ニューヨークに国連の本部が置かれた背景には米国が孤立主義に逆戻りすることを防ぎ、全面的な支持を得ようという考えがあったといわれます。地球規模で解決がせまられる課題が山積するなか、アナン氏らが呼びかけた国際協調を各国はどう受けとめるのか。


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