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2018年9月25日(火)

きょうの潮流

 マリアナ諸島の南端にあるグアムは日本に一番近いアメリカといわれます。サンゴ礁に囲まれたきれいな海が人気のリゾート地で、結婚式を挙げる若者も多い▼人口の4割以上を占めるのが先住民のチャモロ人。小柄で褐色の肌に黒い髪が美しい。相次ぐ大国の支配で苦難の歴史を歩みながら、彼らはたくましく生き抜いてきました。チャモロ語の「ハッファデイ(こんにちは)」が島のあちこちで交わされます▼ウマタック湾には16世紀に世界一周の途上にあったマゼランが上陸した記念碑があります。当時の村人は一行に水や食料を与えますが、船を盗んだとマゼランの怒りをかい、武装兵に殺されたという言い伝えも。330年以上続いたスペイン支配の始まりでした▼19世紀末の米西戦争で今度はアメリカが支配者に代わります。1941年12月に太平洋戦争が始まると、およそ2年半にわたって日本軍が占領。「大宮島」と名づけ、住民に日本語を強制しました▼その後、日米が激しい戦闘をくりひろげ、短い期間でたくさんの死傷者を出しました。チャモロ人も犠牲になり、日本軍の塹壕(ざんごう)掘りに狩り出され、ジャングルの収容所で悲惨な生活を強いられました▼ふたたびアメリカに統治されたグアムは米軍のアジア・太平洋戦略上、重要な基地拠点になっています。島の北にある日本人戦没者の追悼碑。今では訪れる人も少ないといいます。人生の門出を喜び合うまぶしい姿を見ながら、ここで命を落とした若者たちに思いをはせました。


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