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2018年9月11日(火)

きょうの潮流

 テニスで得点が「0」のことを「Love」(ラブ)と呼びます。それはなぜか。諸説ある一つに、1点も取れない相手をやさしくなだめるため、とする「愛情説」があると知りました▼そんなテニスの精神が見えた全米オープン決勝の表彰式でした。四大大会で日本勢初のシングルス優勝を果たした大坂なおみ選手の偉業を祝う場で、スタンドから不満の「ブーイング」が起きました▼決して彼女に向けられたものではありません。決勝で相手のセリーナ・ウィリアムズ選手に3度の警告を発した主審に対して。それでも動揺した大坂選手の頬には涙が伝いました。サンバイザーを深くかぶり直し、そっとそれを隠す姿に胸が締め付けられました▼「皆さんがセリーナを応援していたのに、こんな終わり方で申し訳ない。でも試合を見てくれてありがとう」。ブーイングの背後にある微妙な空気を感じとった優勝スピーチ。いつも陽気でユニークな“なおみ節”とは異なる、繊細でけなげな一面を見た思いです▼セリーナ選手の試合中の執拗(しつよう)な抗議は残念でした。それでも涙する新チャンピオンを抱き寄せる思いやりを見せました。優勝スピーチに先立ち、「みんな私を応援してくれるのはわかります。でも、いまは最高の瞬間にしましょう。称賛されるべき人を称賛しましょう。おめでとう、なおみ。ブーイングはやめて」▼心を通わせ合う2人の温かい“ラリー”が、試合を見ている人々の負の感情やわだかまりを解かしていった気がします。


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