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2016年11月8日(火)

電通強制捜査 繰り返す過労自殺

労働時間管理の責任果たせ

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(写真)電通本社の強制捜査を終え車に押収物を載せる東京労働局などの職員=7日、東京都港区

 電通が7日、違法な長時間労働の疑いで、東京労働局などから強制捜査を受けました。労働基準法102条に「労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う」と規定があり、労基法違反には刑事罰があります。

過少申告まん延

 昨年12月に過労自殺した電通新入社員の高橋まつりさん(当時24歳)は、職場への入退館記録では1カ月130時間を超える残業がありましたが、自己申告による残業時間は1カ月70時間ぎりぎりに収められていました。こうした、過少申告がまん延していたとみられます。労働時間について取り決めた労基法32条などに違反する疑いがあります。

 過少申告による長時間労働のごまかしで、過労自殺を生んだ構図は、1991年の大嶋一郎さん(当時24歳)の過労自殺事件(2000年3月最高裁判決)とまったく同じです。

共産党の論戦で

 日本共産党の志位和夫書記局長(当時)は国会で2000年4月、電通過労自殺事件をとりあげ、「従業員が残業時間を実際より少なく申告していることを会社が知りながら放置していた責任は重大だ」と強調。過少申告によるサービス残業や長時間労働をなくすため、企業が責任をもって実際の労働時間を把握することを義務づけるよう追及しました。

 こうした日本共産党の論戦が実って、01年に厚労省がサービス残業防止のため「4・6通達」を出しました。

 通達は、「使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである」と明記。始業・終業時刻は、タイムカードなど客観的な方法で記録することを原則と定め、やむを得ず自己申告にする場合は、実際の労働時間と合致するか企業が実態調査をするよう厳しく規制しています。

 電通が自己申告制を続け、実態に合わない過少申告をさせてきたことに厳正な対処をしなかった厚労省の責任は重大です。

 電通は反省するどころか、いくら長時間働いても一定の賃金さえ払えばすむ制度の導入・拡大を求めてきました。電通人事局の部長は、『労務事情』02年6月1日号で、企画業務型裁量労働制が「当社の営業にただちに適用することが難しい」として、「法制度の改正が求められる」と訴えています。

 安倍政権が電通など大企業の要求を丸のみして、裁量労働制の適用拡大や、労働時間規制を適用除外にする「高度プロフェッショナル制度」導入を行うことは許されません。

反省の言葉なし

 電通は強制捜査を受けた7日、東京都港区の本社ホールで、石井直社長が社員に向けて、経緯や今後の取り組みについて説明しました。社長説明は関西支社、中部支社にも中継されました。

 電通広報部が本紙に明らかにした説明の要旨には、過労自殺を起こしたことへの反省の言葉が見当たりません。実施施策には、「日次での三六協定の順守徹底」などをあげていますが、「私的在館の原則禁止」とも言っています。

 高橋さんの過少申告を「私的在館」だったかのようにごまかすとすれば、反省がないと言わざるをえません。

 労働行政が電通に対し刑事罰を含む厳しい態度で臨めるか注目されます。(田代正則)


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