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2015年5月21日(木)

日本の戦争を「間違った戦争」とさえ言えぬ首相

戦争法案を提出する資格なし

党首討論 志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長が20日に行った安倍晋三首相との党首討論は次のとおりです。


志位 過去の日本の戦争は「間違った戦争」との認識はあるか

首相 (答弁できず)

写真

(写真)党首討論に立つ志位和夫委員長=20日、衆院第1委員室

 志位 今年は、戦後70年です。この節目の年にあたって、日本が、そして総理自身が、どういう基本姿勢をとるかは、たいへん重大な問題であります。

 戦後50年の「村山談話」では、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩ん(だ)」と述べ、過去の日本の戦争に対して「間違った戦争」という認識を明らかにしております。

 総理に端的にうかがいます。過去の日本の戦争は「間違った戦争」という認識はありますか。

 ことは日本自身が行った戦争の善悪の判断の問題です。歴史の研究の話ではありません。日本の平和と安全に責任を持つ政治家ならば、当然判断しなければならない問題です。「間違った戦争」という認識はありますか。端的にお答えください。

 首相 今年は、戦後70年の節目の年であります。70年前、戦争は終結をしました。しかし、さきの大戦において、多くの日本人の命は失われたわけであります。同時に、アジアの多くの人々が戦争の惨禍に苦しんだ。日本はその後の歩みのなかで、まさに塗炭の苦しみを味わったといってもいいと思います。

 戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない。われわれはこの不戦の誓いを心に刻み、戦後70年間、平和国家としての歩みを進めてきたわけであり、その思いにまったく変わりはないわけでございます。そして、だからこそ、地域や世界の繁栄や平和に貢献をしなければならないと、こう決意をしているわけでございます。

 当然、また、「村山談話」、あるいは「小泉談話」、節目節目に出されているこの政府の談話を、私たちは全体として受け継いでいくと、再三再四申し上げてきたとおりでございます。(議場がざわめく)

 志位 私が聞いているのは、何も難しい問題じゃないんです。過去の日本の戦争が、「間違った戦争」か、「正しい戦争」か、その善悪の判断を聞いたんですが、まったくお答えがありませんでした。

志位 「ポツダム宣言」の認識を認めないのか

首相 つまびらかに読んでいないので論評は差し控えたい

写真

(写真)答弁する安倍晋三首相=20日、衆院第1委員室

 志位 この問題は、すでに70年前に歴史が決着をつけております。

 戦後の日本は、1945年8月、「ポツダム宣言」を受諾して始まりました。「ポツダム宣言」では、日本の戦争についての認識を二つの項目で明らかにしております。

 一つは、第6項で、「日本国国民ヲ欺瞞(ぎまん)シ之ヲシテ世界征服ノ挙(きょ)ニ出ヅルノ過誤」を犯した勢力を永久に取り除くと述べております。日本の戦争について、「世界征服」のための戦争だったと、明瞭に判定しております。日本がドイツと組んで、アジアとヨーロッパで「世界征服」の戦争に乗り出したことへの厳しい批判であります。

 いま一つ、「ポツダム宣言」は第8項で、「『カイロ』宣言ノ条項ハ履行(りこう)セラルベク」と述べています。

 「カイロ宣言」とは、1943年、米英中3国によって発せられた対日戦争の目的を述べた宣言でありますが、そこでは「三大同盟国は、日本国の侵略を制止し罰するため、今次の戦争を行っている」と、日本の戦争について「侵略」と明瞭に規定するとともに、日本が「暴力と強欲」によって奪った地域の返還を求めています。

 こうして「ポツダム宣言」は、日本の戦争について、第6項と第8項の二つの項で、「間違った戦争」だという認識を明確に示しております。

 総理におたずねします。総理は、「ポツダム宣言」のこの認識をお認めにならないのですか。端的にお答えください。

 首相 この「ポツダム宣言」をですね、われわれは受諾をし、そして敗戦となったわけでございます。そしていま、えー、私もつまびらかに承知をしているわけでございませんが、「ポツダム宣言」のなかにあった連合国側の理解、たとえば日本が世界征服をたくらんでいたということ等も、いまご紹介になられました。

 私はまだ、その部分をつまびらかに読んでおりませんので、承知はしておりませんから(議場がざわめく)、いまここで直ちにそれに対して論評することは差し控えたいと思いますが、いずれにせよですね、いずれにせよ、まさにさきの大戦の痛切な反省によって今日の歩みがあるわけでありまして、われわれはそのことは忘れてはならないと、このように思っております。

 志位 私が聞いたのは、「ポツダム宣言」の認識を認めるのか、認めないのかです。はっきりお答えください。

 首相 いま申し上げましたようにですね、まさに「ポツダム宣言」を私たちは受け入れて、これがまさに戦争を終結させる道であったということであります。この、われわれは受け入れることによって、終戦を迎え、そして、まさに日本は平和国家としての道をその後、歩き始めることになったということではないかと思います。

志位 日本の戦争の善悪の区別さえつかぬ首相に、米国の戦争の善悪の判断ができるわけがない

 志位 私は、「ポツダム宣言」が認定している「間違った戦争」という認識を認めないのかと聞いたんですが、認めるとおっしゃらない。これは非常に重大な発言であります。

 戦後の国際秩序というのは、日独伊3国の戦争は侵略戦争だったという判定の上に成り立っております。ところが総理はですね、「侵略戦争」はおろか、「間違った戦争」だともお認めにならない。

 総理がいま進めようとしている集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、アメリカが世界のどこであれ、戦争に乗り出したさいに、その戦争に自衛隊を参戦させるというものであります。しかし、米国の戦争の善悪の判断が、総理にできますか。日本が過去にやった自らの戦争の善悪の判断もできない総理に、米国の戦争の善悪の判断が、できるわけないじゃないですか。(「そうだ」の声)

 戦争の善悪の判断ができない、善悪の区別がつかない、そういう総理が、日本を「海外で戦争する国」につくり変える戦争法案を出す資格はありません。撤回を強く求めて終わります。(大きな拍手)

ポツダム宣言から

 六、吾等ハ無責任ナル軍国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序カ生シ得サルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞(ぎまん)シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス

 八、「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ

「カイロ宣言」(1943年12月1日)から

 「三大同盟国ハ日本国ノ侵略ヲ制止シ且(かつ)之ヲ罰スル為(ため)今次ノ戦争ヲ為(な)シツツアルモノナリ右同盟国ハ自国ノ為ニ何等ノ利得ヲモ欲求スルモノニ非ス(あらず)又領土拡張ノ何等ノ念ヲモ有スルモノニ非ス」

 「日本国ハ又暴力及貪慾(どんよく)ニ依リ日本国ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ駆逐(くちく)セラルヘシ」


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