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2013年1月10日(木)

日本の集団的自衛権行使 米から実現迫る声相次ぐ

狙いは“血を流す”同盟

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 安倍晋三首相が政府の憲法解釈の変更によって可能にしようとしている集団的自衛権の行使―。米国の元政府高官や有力シンクタンク(政策研究組織)などからは、昨年末の総選挙を前後して、日本が海外で武力行使を可能にするために実現を迫る露骨な声が相次いでいました。

日本防衛と「関係ない」

 「安倍は日本の集団的自衛権の行使を約束した。これは日本領域への直接の攻撃に関係のない危機において、日本が米軍支援のためにより多くのことを行うのを許すものだ」

 自民党「勝利」という総選挙結果を受け、米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)はウェブサイト上に、マイケル・グリーン上席副所長(アジア・日本部長)の解説を掲載しました。(昨年12月18日付)

 グリーン氏は、安倍氏が進めようとしている集団的自衛権行使の動きなどの安全保障政策を米政府は歓迎すべきだとし、「(それは)米日同盟をNATO(北大西洋条約機構)や米豪同盟の方向に進めるだろう」と指摘。「(2001年の)9・11(テロ)後、NATOとオーストラリアは直ちに条約を発動し(米国への)軍事支援を提供できた。しかし日本はインド洋での連合軍への給油援助やイラクでの人道支援の提供という、極めて制限された次善策を見つけなければならなかった」と述べています。

 つまり、アフガニスタンやイラクでの戦争で自衛隊が米軍を支援するため武力行使できるようになるということです。

交戦規則の制定要求も

 昨年11月には、米国の保守系シンクタンク・ヘリテージ財団が、安倍首相の誕生を見越し、「米国は日本の政治的変化を利用して同盟を進化させるべきだ」と題する上級研究員の報告書を発表しました。

 同報告書は、米政府が日本政府に対し「日本が危機に際して同盟諸国を防衛できるように集団的自衛の見解について制限の少ない解釈をする」ことを求めるべきだと提言。「日本は安全保障上の海外展開で効果的な貢献ができるよう、より現実的な交戦規則を採用すべきだ」とし、海外で戦闘する際に必要な交戦規則の制定まで持ち出して自衛隊に武力行使を迫っています。

 米議会調査局(CRS)の報告書(昨年5月)やCSISによる「第3次アーミテージ報告」(同8月)なども、日本の集団的自衛権行使の禁止が「米日同盟の妨害物」になっているとの認識を繰り返し表明していました。

 海外で米軍とともに“血を流す”同盟へ―。これが、日本の集団的自衛権行使の狙いです。 (榎本好孝)

米シンクタンクなどの報告書(抜粋)

 ▽CRS報告書「日米関係:議会のための諸論点」(昨年5月4日)「米国起案の日本の憲法は概して、より緊密な米日防衛協力の妨害物になっている。支配的な9条の憲法解釈が“集団的自衛”への参加、すなわち第三国に対する米国との戦闘協力を禁じているためである」

 ▽米国防総省の委託でCSISが米議会に提出した報告書「アジア太平洋地域における米国の兵力態勢戦略」(同6月27日)「日本による集団的自衛の禁止は、より効率的な2国間の計画立案と協力への妨害物である。しかし、日本国内の政治的雰囲気は漸進的な方法でそうした制約を緩和する方向で動いている」

 ▽リチャード・アーミテージ氏(元米国務副長官)、ジョセフ・ナイ氏(元米国防次官補)らによるCSIS報告書「米日同盟:アジアの安定を支える」(第3次アーミテージ報告、同8月15日)「集団的自衛の禁止は米日同盟の妨害物になっている。…両国の部隊が、平時・緊迫時・危機・戦時という安全保障の全領域を通じて全面協力し対応できるようにすることは重要な権限付与であろう」

 ▽ヘリテージ財団の報告「米国は日本の政治的変化を利用して同盟を進化させるべきだ」(同11月14日)「米国は次のことによって日本の新しい国家安全保障政策の現実主義を強化すべきである。…日本が危機に際して同盟諸国を防衛できるようにするため集団的自衛の見解について制限の少ない解釈をするよう勧告すること」


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