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2012年6月5日(火)

「再稼働容認」の橋下大阪市長

根本に「安全」論なし

財界、経産省と密会

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 野田政権が強行の構えを強める福井県の大飯(おおい)原発3、4号機の再稼働―。その中で、橋下徹大阪市長が「再稼働容認」を表明したことに批判が強まっています。橋下氏は1日、再稼働をめぐり「民主党政権を倒す」としてきた自身の発言を「撤回する」と述べました。


 橋下氏は5月31日の会見で、関西広域連合が発表した大飯原発再稼働についての声明(同30日)について「これは事実上の容認です。政府もやるべきことは、安全の確認じゃないですよ」などと公言。「安全が不十分な状態で(原発を)動かすことはありえないと『机上の理屈』ではそうかもわかりませんが、『机上の論理』だけではいかないのが現実の政治」と開き直りました。

橋下氏の“変節”

 関西広域連合が声明をまとめた日、橋下氏は電話で会合に参加し、「暫定の(安全)基準ならば、安全も暫定だと言い切って物事を進めるべきだ」と発言しました。再稼働をあおってきたマスメディアも、「再稼働批判の急先鋒(せんぽう)だった橋下市長が理解を示したことで、一気に再稼働容認への流れができた」(「読売」31日付)と“評価”しています。

 橋下氏の“変節”の背景には財界との密談があります。5月15日には関西経済連合会、大阪商工会議所、関西経済同友会の経済3団体の首脳と原発再稼働をめぐって会談。その後、橋下氏は突如、「期間限定の再稼働」という発言を繰り返すようになり、政府や民主党幹部からも「注目すべき発言だ」とされてきたのです。2月には経済産業省幹部と大飯再稼働問題をめぐり密会していたことも本紙のスクープで明らかになっています。

 もともと橋下氏には原発問題について明確な「安全」論はなく、福島原発事故後、「原発ゼロ」を明言したことはありません。

 再稼働問題についても、福島原発事故の原因究明を厳しく求める姿勢はなく、当初から「電力需給データの公開」を関西電力に求めるのみでした。

責任を投げ出す

 4月初旬、野田内閣が「新基準」に基づき政治判断で再稼働を進める姿勢を打ち出したときには、「政治家の判断で進めることはありえない」とする一方、原子力安全委員会のお墨付きを得れば再稼働できるという姿勢を示しました。原子力安全委員会は「安全神話」で大事故を起こした責任者であり、安全判断を委ねるなどまったくの不見識です。

 4月26日には、再稼働を認めなければ、「応分の負担がある」「何の負担もなく要望が通るなんて、そんな都合のいい世の中なんてない」と、市民に電力供給のために増税が必要になるとの脅しをかけ、事実上再稼働を迫る発言もしていました。

 橋下氏は、「暫定的安全基準に基づく、限定的再稼働」と“言い訳”していますが、「暫定」とは見切り発車そのものであり、再稼働ありきの財界要求への屈服にほかなりません。

 橋下氏の姿勢は、事故原因の検証と根本的な安全対策を求める広範な国民の声を“非現実的な願望”として切り捨てるもので、住民の命と健康を最も大事にすべき自治体首長の責任を投げ出すものです。(中)


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