2011年9月14日(水)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が13日の議員団総会でおこなったあいさつは次の通りです。


台風12号の豪雨災害からの復旧、全国的な防災の総点検を

 みなさん、おはようございます。臨時国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。

 台風12号による記録的な豪雨で、死者・行方不明者が100人を超えるという大きな災害が引き起こされました。私はまず、亡くなられた方々への深い哀悼の気持ちとともに、被災された方々への心からのお見舞いを申し上げるものです。

 二次被害を防止すること、被災された方々の生活再建のために万全の措置をとることを強く求めていきます。

 また、台風・豪雨災害から人命を守り抜くために、避難体制の抜本的強化など、全国的な防災の総点検を提起していきたいと考えています。

岩手県議選の結果を確信に、さらに前進・勝利を

 11日に投開票された、被災地で初の県議会議員選挙となった岩手県議選で、日本共産党は、盛岡の現職とともに、一関で新しい議席を確保し、県政史上初めて複数議席を獲得し、躍進することができました。(拍手)

 日本共産党が、被災者のみなさんの苦しみに寄り添い、復興・救援に全力をつくしてきたこと、「水産特区」、TPP(環太平洋連携協定)、県立病院の統廃合など復興に逆行する動きに反対を貫いてきたこと、原発災害による放射能被害から県民の命と暮らしを守り、「原発ゼロの日本」の実現を堂々と訴えてきたことなどが、住民の信頼を高めた結果だと思います。この結果に大いに確信をもって、引き続く被災地での選挙、全国の中間地方選挙で、前進・勝利を勝ち取るために、ともに力を合わせて頑張りぬきたいと思います。(拍手)

わずか4日間の臨時国会――論戦をやる自信がないのか

 さて、この臨時国会は、野田新政権が発足して初めての国会であります。ですから、新内閣がどういう政治をおこなうのか、その基本姿勢を明らかにすることが中心任務となります。そのためには所信表明演説を受けた代表質問だけではなくて、予算委員会を開いて、一問一答で国政の基本問題についての内閣の基本姿勢を明らかにすることが当然必要であり、そのために必要な会期を確保することも当然であります。(「そうだ」の声)

 ところが、先ほど議院運営委員会がおこなわれましたが、政府・与党はたった4日間でこの国会の会期を閉じようとしています。これは、論戦をやる自信がない、論戦を逃げているというほかありません。(「そうだ」の声)

 なぜ、まともな論戦から逃げるのか。与野党国対委員長会談でも、穀田恵二国対委員長がこの問題を提起しましたところ、平野(博文)民主党国対委員長は、「いまの内閣は不完全で、十分な答弁ができない」といったそうであります。野田新体制は、国政担当における当事者能力を欠いているということを自ら認めるにひとしい発言です。

大臣からの相次ぐ失言――国民の痛みへの無感覚

 そして、内閣が構成されたわけですが、新任大臣から失言が止まりません。鉢呂(吉雄)前経済産業大臣は、福島県を訪問したあと、「まるで死の町」という発言をおこない、これは謝罪・撤回したものの、「放射能をつけちゃうぞ」という発言もしていることがわかり、辞任となりました。

 それから、玄葉光一郎外務大臣が、米軍普天間基地についておこなった発言も、いま沖縄で大きな怒りを呼んでいます。「踏まれても蹴られても誠心誠意沖縄に向き合っていく」。こういう発言でありますが、いったい踏みつけにしているのは誰なのか(「そうだ」の声)、日米両政府ではないかという怒りが沖縄から広がっていることも当然であります。

 この二つの発言は象徴的です。すなわち、一番苦しんでいる人たちの気持ちがわからない。原発災害でたいへんな苦しみを受けている福島県民の気持ちがわからない。基地の重圧で長年苦しめられてきた沖縄県民の気持ちがわからない。国民の痛みや苦しみに無感覚、無関心、このことが象徴的に表れたのがこれらの発言ではないでしょうか。

「財界・アメリカ直結政権」――看板は民主党だが中身は自民党

 私は、8月31日におこなった通常国会の閉会にあたってのあいさつで、野田新体制のもとで、民自公3党によるいわば「翼賛体制」ともいうべき動きがつくられつつあることをのべました。

 その後、野田新体制がどんな中身の政治をやろうとしているのか。それを自ら示す象徴的出来事が二つ起こりました。

 一つは、内閣組閣前に、野田新首相が、日本経団連などの財界詣でをしたことです。組閣前に財界に頭を下げに行くことは、歴代自民党内閣でもやったことがないことです。

 財界詣でで、首相が経団連会長に何を言ったかというと、“官邸に経済・財政の司令塔をつくりたい。そこにぜひ、日本経団連の代表も入っていただきたい”という話であります。「国家戦略会議」と命名するようでありますけれども、かつて小泉内閣時代につくられ、悪名高い「経済財政諮問会議」の民主党版をつくろうというわけです。小泉内閣の、財界中枢が実権を握った司令塔という仕掛けのおかげで、どれだけ社会保障が削られたか。どれだけ中小企業がつぶされたか。どれだけ庶民に増税がおしつけられたか。このことを思い出すときに、それと同じことをやろうというわけですから、まさに「財界直結内閣」の姿が現れたということをはっきり言わなければなりません。(「そうだ」の声)

 もう一つの動きは、国会が始まる前に、民主党の新政調会長となった前原氏がアメリカ詣でをしたということです。そこで何をいったかといえば、“PKO(国連平和維持活動)の武器使用の基準を緩和します”“武器輸出三原則についても見直します”と誓約してきた。国会で総理大臣が所信表明演説をする前に、政調会長がアメリカで「所信」をのべてきたというわけですから、どちらの方向をこの内閣はむいているのかということを、まさに象徴的に示したものだと思います。「武器使用基準の緩和」というのは、自衛隊が他国の軍隊と一緒になって武力の行使をする道をこじあけようというものですから、たいへん危険な、憲法9条に反する道をすすもうという動きであることを私たちは直視して、正面から対決していきたいと思います。

 こうして、短期間のうちに、「財界・アメリカ直結政権」という姿がはっきり浮かび上がってきた。看板は民主党でも、中身は自民党とほとんど変わることのない内閣が生まれたというのが野田新体制であります。

政治の土台を国民中心にきりかえないと、政治は良くならない

 しかし考えてみますと、こういう方向は、民主党が2年前の総選挙でおこなった国民のみなさんへの公約を、それこそ根底から裏切ることになるのではないでしょうか。

 2年前の「政権交代」に国民のみなさんが託したのは何だったかといえば、「自民党政治を変えてほしい」という願いでした。この1票を民主党に託した。そして「政権交代」となったわけです。しかし「3代目」にして、中身は自民党とまったく変わらない内閣が誕生した。これは政権交代にかけた「自民党政治を変えてほしい」という願いをまっこうから裏切る行為であって、国民との矛盾は広がらざるを得ないと思います。

 なぜこういうことが起こるのか。先日、私は、BSフジの「プライムニュース」という番組に出演する機会がありました。司会者から「政権を取るとしょせんこんなことになるんですかね」と聞かれまして、それは「しょせん」ということではないんだと(笑い)。政治をすすめる軸足、土台が古いままだった。ここに問題があるということを答えました。

 外交といえばアメリカのいいなりになっていればいい。内政は財界のいうとおりにしていればいい。このアメリカ・財界中心の政治にとらわれているかぎり、多少前向きの仕事をやろうとしても、結局は古い自民党に戻ってしまう。政治の土台を国民中心にきりかえないと、政治はよくならない。そのことを証明したのがこの2年間ではないでしょうか。

抜本的打開策示し「日本共産党ここにあり」の論戦を

 そういう中で、はやくも日本の政治のほんとうの「対立軸」がはっきり浮かび上がってきたと思います。

 8月31日の(通常国会)閉会にあたってのあいさつのさいに、私は、「日本の政治の真の『対立軸』が、さまざまな曲折はあっても、いやが上にも浮かび上がってくるでしょう」といいましたけれども、早くも政治的対決の真の構図が、くっきりと浮かび上がってきました。古い政治をすすめる民主・自民・公明か、それとも政治の土台からの刷新をすすめる日本共産党かということにあるということが、はっきり浮かび上がってきたのが、この十数日間だったと思います。

 この臨時国会は短い期間となりますが、大震災への対応、原発事故への対応、消費税と社会保障の問題、米軍基地の問題、国政の根本問題について、国民のみなさんの切実な要求から出発しながら、抜本的な打開策を大いに示して、「日本共産党ここにあり」という論戦をおこないたい。その決意を固めあいまして、開会にあたってのごあいさつといたします。頑張りましょう。(拍手)





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