2010年3月15日(月)「しんぶん赤旗」

メディアが持ち上げる みんなの党

「構造改革」路線に固執

公務員削減など競い合い


 貧困と格差を拡大させた「構造改革」路線に総選挙で国民がノーの審判をくだしたもとで、マスメディアが財界の要求にこたえて、「構造改革」推進のキャンペーンをすすめるとともに、「政界再編」をあおる姿が目立ちます。

 たとえば、フジテレビ系「新報道2001」(7日)では、「政界再編の行方を左右する」として、政党党首としては、みんなの党の渡辺喜美代表だけを呼んで、同党が掲げる「脱官僚」などの主張に沿って民主、自民の代表らと討論させました。

 みんなの党を「民主でも自民でもない第三極」などと持ち上げ、同テレビ報道局政治部長が「民主党の支持率が下がり、自民党も受け皿になれず、みんなの党が受け皿になっている。今選挙やると与党は過半数が難しいので、みんなの党が与党に入るのではないかとささやかれている」と水を向けました。

 渡辺氏は「ブレないところが支持されている」などと自画自賛。「民主は公務員人件費2割削減といっていたが生ぬるい」「(『小さな政府』路線を)自民は捨ててしまい、民主も投げ捨てた」と主張しました。国民がノーを突きつけた「構造改革」路線を新たな装いですすめようとする点で突出しています。

 これに対し民主の細野豪志副幹事長は「給与を下げ、出先機関も少なくする」「新しい公共ということで民間に担ってもらう」と発言。自民の菅義偉元総務相も「(小さな政府路線から)揺り戻しになっているので党内で主流にしていく」とのべ、公共サービス切り捨てや公務員削減を競い合いました。

 TBS系「サタデーずばッと」(13日)では渡辺代表をメーンゲストにしたコーナーを設け、「政権交代したが、自民党と同じで閉そく感があるから(みんなの党が)支持されている」「国家を徹底してリストラする」などと語らせました。

 番組のなかで日本共産党の小池晃政策委員長が、同氏の著書を紹介して、貧困と格差を拡大させた小泉「構造改革」路線をさらにすすめようとするものだと指摘。渡辺氏は「デフレ経済が原因だ」とごまかし、「構造改革」路線は正しかったと居直りました。

 自公政権による「小さな政府」路線で医療や福祉など社会保障が削減され、公務員数も先進国の中で最も低い水準の国となっています。「小さな政府」路線は、公的責任を民間に丸投げして起きた耐震・食品偽装事件などにみられるように百害あって一利なしです。

 くしくも、「自民でも民主でもない」といいながら両党と大差ない政治姿勢が浮き彫りとなりました。フジ系番組では、「小さな政府」「脱官僚」への賛否を尋ねたところ、同党と民主、自民、公明の代表がそろって支持。パネルには4者が横一列に並び、司会者も「対立しているようで共通項がみられる」とのべました。「第三極」といっても、破たんした「構造改革」路線に固執するのでは新しい政治の展望は開けません。(深山直人)


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