2009年4月20日(月)「しんぶん赤旗」
キューバ制裁解除を
南米諸国、米大統領に要求
【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=西村央】当地で開催中の米州首脳会議に出席しているオバマ米大統領は十八日朝、南米十二カ国で構成する南米諸国連合(UNASUR)の首脳と会談しました。南米諸国側は米国による対キューバ経済制裁の解除を要求しました。
ベネズエラやブラジル、カリブ海諸国など多くの首脳がオバマ大統領が前日に表明した「キューバとの関係での新しい始まり」に賛意を表した一方で、禁輸措置の解除を求めました。
ロイター通信によると、ベネズエラのチャベス大統領は会談後記者団を前に、「彼(オバマ大統領)はキューバとの新しい関係を築くと呼びかけたことを、(相互)尊重に基づき、無条件で、速やかに進めるべきだ。そうしたことが起きる、すばらしい可能性があると私は思う」と語りました。
また、ボリビアのモラレス大統領は「今回がキューバが参加しない最後のサミットになることを期待したい」「オバマ氏は(米国が)キューバに与えた政治的、経済的損害を修復する義務がある」と述べました。
これに対してオバマ氏は、「キューバとの対話を始めようとしているところだ。新たな段階までには時間が必要だ」と応じ、キューバとの間で人権問題などを協議していくことを表明。この場ではそれぞれの見解のやりとりに終わりました。
今回の米州首脳会議ではキューバ問題が大きな関心事となっています。オバマ氏は中米七カ国で作る中米統合機構(SICA)との首脳会談を予定していますが、ニカラグアのオルテガ大統領は十七日の開会式の演説で、「ALBA(米州ボリバル代替構想)は米州首脳会議からキューバを排除している問題にふれない首脳宣言は受け入れられない」とキューバ排除をやめるよう訴えました。
南米諸国連合(UNASUR) 二〇〇四年十二月に設立された南米諸国共同体が〇七年四月、名前を変更。アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、スリナム、コロンビア、チリ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビアの十二カ国が加盟。
中米統合機構(SICA) 一九九二年に発足。昨年十二月に首脳会議を開催し、金融危機への対処で相互支援を強めることなどを内容とする宣言を発表。エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、パナマ、ベリーズの七カ国が加盟。

