2008年9月27日(土)「しんぶん赤旗」

英国の大主教、投機を批判

虚構が生んだ富

“マルクスは正しかった”


 【ロンドン=岡崎衆史】米国同様、金融自由化を進めて、今回の金融危機で深刻な被害を受けた英国で、危機を生み出した資本主義の現状を、教会の聖職者が、相次いで批判しました。批判は、マルクスの資本主義分析を一部認めるなど、宗教者としては異例の厳しさとなっています。

 英国国教会の宗教上の最高の地位にあるウィリアムズ・カンタベリー大主教は二十六日発売の英誌『スペクテーター』に寄稿し、「信じられないほどの富が、同じく信じられないほどの虚構、紙の取引によって生み出されてきた」と述べ、金融取引のあり方に不信を表明。続けて「金融の世界が、監視や規制の対象外に置かれている現状を無期限に維持できるふりをするのは無駄である」「共通の繁栄や安定の土台なくして、投機市場は長期にわたって生き残ることはできない」とし、金融市場を適切に規制し、公共の利益に役立たせなければならないとの考えを示しました。

 大主教はその上で、「マルクスはかつて、自由放任の資本主義が、現実や権力機関を、それ自体は生命を持たない物の属性とし、神話(虚構)をつくりだす方法を見つけだした」「彼はそれについては正しかった」と述べ、マルクスの学説を部分的に認めました。

 英国国教会でウィリアム大主教に次ぐ地位にあるセンタム・ヨーク大主教は二十四日、ロンドンの金融街「シティー」で、投機家を「銀行強盗」「資産強奪者」と呼んで批判。さらに、「市場システムは取引のルールを不思議の国のアリスから持ち込んだようだ。銀行の株価はその業績にではなく、政府が救済する意欲や、それを発表するかどうかに依拠している」と酷評しました。


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