2008年8月12日(火)「しんぶん赤旗」

ボリビア国民投票

大統領、大差で信任

「変革さらに進める」


 【ラパス=島田峰隆】南米ボリビアで十日、新自由主義路線からの脱却と対米自立を掲げるモラレス大統領の信任を問う国民投票が行われました。同日午後十時(日本時間十一日午前五時)段階の地元テレビ各局の報道によると、同大統領は二〇〇五年十二月の当選時の得票率(53・7%)を大きく上回る60―63%の信任を得ました。不信任は40%程度にとどまる見通しです。


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(写真)モラレス大統領信任に歓声を上げる市民=10日、ラパス(島田峰隆撮影)

 同大統領への信任は南部チュキサカ県以外の八県すべてで〇五年の得票率を上回る勢い。モラレス政権の進める変革への支持の強さを示す結果となりました。

 モラレス大統領は同日夜、ラパス市内の大統領官邸で支持者を前に演説し、「国民が今日投票で示したのは変革をさらに進めることだ」と勝利宣言。国民の意見表明が「平和的、民主的に行われ、ボリビアの民主主義をさらに深化させた」と歓迎しました。富裕層や大土地所有者が支援する野党勢力は、反政府の抗議行動を続ける構えを示しています。

 最終的な結果は、数日後に全国選挙裁判所が発表します。

 同国では、政府が提案した新自由主義路線からの転換を図る新憲法案に富裕層や大土地所有者が激しく抵抗、政府との対話を拒否しています。国民投票は、事態を打開するためにモラレス大統領が昨年十二月に提案しました。


貧困層支援に支持

 十日の国民投票で、ボリビアのモラレス大統領が二〇〇五年の当選時を上回る規模で信任されたことは、同政権が進める貧困層支援の社会変革が国民の間に深く浸透し、理解と支持を大きく広げていることを示しました。

 モラレス政権は、前政権までの新自由主義路線を改め、天然資源を国民の手に取り戻すこと、対米自立の外交を推進することなどを掲げて二〇〇六年一月に発足しました。外国企業による天然ガス採掘事業への国家管理を強め、〇七年の同国の炭化水素関連税収は〇五年比で倍増しました。

 これを財源に、無年金者をなくす新年金の導入、就学援助、公立病院の建設、非識字克服運動などを実施。一部の富裕層を優遇する新自由主義路線のもとで排除されてきた貧困層への支援を進めました。政府が提案する新憲法案は、連帯的な経済の実現や大土地所有の制限を掲げ、さらに踏み込んだ変革を目指しています。

 前政権下で恩恵を受けてきた大土地所有者や富裕層は、既得権を失うことを恐れ、改革に猛反対しています。

 野党側は選挙中、「モラレスはボリビアをベネズエラ型の国にする」などと宣伝、大統領の罷免を呼びかけました。右派地盤県では道路や空港を占拠するなど投票自体を混乱させようとしました。野党系メディアは「モラレスの政策が国を分裂させた」として、政府批判を連日報じました。

 しかし、こうした宣伝も新自由主義の弊害を二十年以上経験した国民には通用しませんでした。

 与党側は、貧困層支援は新自由主義を改めることで実現したと強調。野党の策動に対して「投票で新自由主義を打ち破り、民主主義を守ろう」(モラレス大統領)と最後まで訴え、挑発に乗らないよう国民に呼びかけました。(ラパス=島田峰隆)


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