2008年6月30日(月)「しんぶん赤旗」
平和・人権裁判勝利へ
静岡 全国交流集会始まる
平和や基本的人権にかかわる裁判に取り組む人が経験を交流する「裁判勝利をめざす全国交流集会」が二日間の日程で二十九日、静岡県熱海市で始まりました。自衛隊のイラク派兵を違憲とした名古屋高裁判決やえん罪事件、裁判員制度などについて、当事者らが意見を交わしました。
全労連と自由法曹団、日本国民救援会の共催で、今年で十八回目。全国の事件当事者や弁護団、支援団体メンバーなど約百七十人が参加しました。
特別報告に立ったイラク派兵差止訴訟弁護団事務局長の川口創弁護士は「法廷で裁判官に、イラクでの掃討作戦の実態を、具体的な事実で伝え続けた。判決は、自衛隊『違憲・合憲』の議論を超えた次元で、すでに日本が多国籍軍の一員として参戦していることを正面から認めた。この判決を生かしていくことが大切だ」と語りました。
留置場での同房者の証言を証拠として殺人などの罪に問われ、無罪判決を受けた「えん罪引野口事件」の元被告、片岸みつ子さんと長男の和彦さんも経緯を報告。「刑事事件を長期にたたかうのは困難なこと。知人らがつくってくれた『支える会』に助けられた」と、支援団体の大切さについて述べました。
関西学院大学大学院の川崎英明教授(刑事訴訟法)は「裁判員制度のもとでどう裁判をたたかうか」と題し講演。「裁判員は公判を実際に見て判断する。これまでの調書依存、自白依存の刑事裁判を克服する契機にすることが求められる」と語りました。
日本共産党の仁比聡平参院議員も出席。「個別の裁判を通じて基本的人権を実現するため、政治の立場からも力を尽くす」とあいさつしました。
その後、ビラ弾圧などの言論弾圧事件、非正規や解雇などの労働事件、刑事の再審事件など六つの分科会に分かれて議論しました。