
2007年3月23日(金)「しんぶん赤旗」
原爆症認定行政 断罪続く
東京地裁21人勝訴
原爆症認定申請を却下したのは違法だと被爆者らが国を訴えた集団訴訟の判決が二十二日、東京地裁でありました。鶴岡稔彦裁判長は、現行の原爆症認定のありかたについて「被爆者救済を目的とする法の趣旨に合わない」と批判し、原告三十人のうち二十一人を原爆症と認め、却下処分の取り消しを命じました。九人については、被爆地に入ったのが十三日たっているなどを理由に訴えを退けました。
大阪地裁判決から続いてきた「国の原爆症認定のあり方は機械的だ」との判断を東京地裁が踏襲し、被爆者援護法の趣旨にも反するとしたことは被爆行政の根本的転換を国に迫るものです。原告や被爆者、支援者は判決後、「控訴をやめよ。認定基準を抜本改正せよ。早期解決をはかれ」と厚労相や各政党に要請しました。
東京地裁には第一次三十人、第二次二十八人が訴えています。この日は第一次判決。原告のうち十一人が亡くなっています。遺族らが遺影を胸に判決に臨みました。
判決は、厚労省の審査基準である放射線量評価(DS86)や原因確率について「(これらの)値が低いというだけで放射線起因性を否定することはできない」として残留放射能の影響について原告の主張を全面的に採用、機械的な認定行政をきびしく批判しました。損害賠償請求は棄却しました。
原告団長の山本英典さん(74)は記者会見で「原爆被害は六十二年にわたるもの。国は裁判を続けるのではなく、被爆実態を徹底的に調査し、納得できる認定制度を確立すべきだ」とのべました。