日本共産党

2003年1月11日(土)「しんぶん赤旗」

シリーズ 地方発

新しい政治の流れ

開かれた行政すすむ長野県

県民がチェックできる


 自分が思っていることや意見が県政に生かされる――田中康夫知事が誕生してから、長野県政は情報開示も進み「ガラス張り」になりました。県民参加で福祉・医療、教育、環境、産業・雇用優先の県づくりが取り組まれています。

 (長野県 原広美記者)



押し付け合併から離脱
写真
日本共産党の知事への要望も、県民が見守るなかで行われます=2002年9月、長野県庁知事室

ガラス一枚

 「現人神(あらひとがみ)が人間になった」。ある県民は前知事と田中知事を比べ、こう表現しました。

 開かれた県政の象徴、県庁一階の「ガラスの知事室」。来庁者が新聞を読んだり、コーヒーなどを飲みながら待ち合わせたりする「県民ホール」とは、ガラス一枚の素通しです。

 知事室入り口の日程表をのぞき込んだ長野市の野田尚子さん(57)は、「今日は『ようこそ知事室』があったんだ」。「ようこそ知事室」は、抽選で県民を招いて懇談するものです。田中知事は「ガラスの知事室」で職員と打ち合わせ、県民、市町村長や議員、業者団体や住民運動グループ、県民と懇談しています。野田さんは、「知事がいつ、どこで、何をやってるのかがわかる。以前は考えられなかったこと」とつけ加えました。

 知事会見や県の発表もオープン。すべての報道関係者だけでなく、県民も質問できます。県の各種委員会も変わりました。ダム建設か、ダムなしか、激しく意見が交わされている県治水・利水ダム等検討委員会では、県民は委員と同じ資料を見ながら傍聴できます。

立直す勇気

 毎回のように県議会を傍聴している長野市の山崎米子さん(59)は、県政の変化についてこう語ります。「県政がよく見えるようになったから、県民がチェックできるのよね。一言で言えば、前の県政は悪。それを変えつつある。共産党がいたから今があると思うわよ」

 田中県政は県民の声を聞き、県民とともにやり直す勇気を持っています。昨年の“長野夏の陣”といわれた知事選の真っ最中に田中知事は市町村合併問題で県民におわびしました。「中央集権型、地域の過疎化を招きかね」ないとして、国主導で進められている「市町村合併、先にありき」の姿勢をあらためると語りました。

 合併問題では、これまでも「合併、先にありき」の姿勢には、県民や小規模町村の首長からも“異議あり”の声があがっていました。日本共産党は各地で合併問題シンポジウムを開いて問題提起。県議会や市町村議会でも国の押し付け合併に反対し、情報開示と徹底論議、住民の合意を主張してきました。こうした中で田中知事が、押し付け合併からの離脱宣言をしたのです。


「解同」、談合にメス

ヤミ補助金

 旧県政が築き、ヤミに閉ざしてきた「解同」(部落解放同盟)の利権構造が明るみに出たことも衝撃でした。

 昨年の知事選直後の九月県議会。高村京子さんの県議補選勝利で日本共産党が初めて得た代表質問で、石坂千穂団長が「解同」への不平等不公正な団体補助金や委託料などは「ヤミ補助金といわれても仕方がない」と迫りました。知事は補助金などの実態を公開。傍聴席は「えっ」とどよめきました。

 さらに田中知事は、「調査して、県民の理解が得られる迅速な対応をしたい」と答弁。十二月には委託事業や補助金問題で解同県連と懇談し、廃止に大きく踏み込んでいます。

 公共工事の談合にもメスを入れています。県公共工事入札適正化委員会は、談合しにくい入札制度づくりと同時に、浅川ダム談合疑惑の解明作業を進めており、一月中に結論がでる見通しです。

共産党こそ

 田中知事は「財政改革推進プログラム」(案)を公表し、県民に意見を募集しました。

 日本共産党県議団と県委員会は七日、八日、プログラム案について、「公共事業の見直しで県単独の事業を五割、国の補助事業を四割削減するなどして、暮らしや福祉、教育や環境、雇用など県民の暮らしを応援しようとしている。改革の方向を大局的に支持する」と表明。より県民の願いにこたえ、改革を推進するために提言・提案もしました。

 中野市の田中きよみさん(61)は、公共事業への「大盤ぶるまいのツケが、回ってきている。無駄なことはやめて、いいことはやる。知事に不信任を突き付けた県議は景気が悪くなるから公共事業を減らすなっていってんでしょ。それじゃ全然変わらない。共産党に頑張ってほしい」と語ります。


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