2003年1月4日(土)「しんぶん赤旗」
北海道発注公共工事をめぐる「口利き」疑惑に関連して、北海道知事や国会議員、自民党、公明党、民主党の道議ら計二十九人もの政治家名をしるした道庁内部の公文書が昨年情報公開されました。これだけの議員名と「口利き」を示す役所の内部文書が明るみに出るのは全国でも例がありません。道議会では、日本共産党以外に本格追及する政党はなく、今春のいっせい地方選挙を前に文書の全容公表と疑惑解明を求める声が強まっています。
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この内部文書は、公正取引委員会が北海道上川支庁発注工事で道庁主導の「官製談合」を摘発したさい、道庁から押収した文書の一部。文書が道庁に返却されたのを受け、日本共産党の北海道議団(大橋晃団長)や道内マスコミが情報公開請求し、道庁は昨年約一万数千ページを開示しました。
文書は、道庁と上川支庁が公共工事の執行にからみ、政治家ら外部の人から受けた「要請など」を整理したもの。政治家では二十九人の名前が記載され、特定企業について、役所に紹介したり、入札での「指名」や「受注増」を求めたりしたとみられる記述がありました。
登場するのは、堀達也北海道知事、衆院議員であっせん収賄罪などで公判中の鈴木宗男被告、自民党の金田英行衆院議員、中川義雄参院議員の三人の国会議員のほか道議二十五人。道議については、名前のあとに「道議」、または道議を指す「D」、「先生」といった肩書がつけられています。
道議の内訳は自民党十四人(OB二人)、公明党一人、民主党十人(OB三人)。議員名ではなく、「公明党」という政党名の記述もありました。
上川支庁の「事務引継書」と題する文書では、公明党の荒島仁道議(旭川市選出)の名前が九回も登場します。そこでは、「事業執行上留意する事項」として、工事について「業者名」「紹介者」「希望内容」「指名状況」などを一覧表にしており、荒島道議は業者の「紹介者」として登場しています。「希望内容」は「指名参加」や「受注増」といったもので、まさに業者のための口利きそのものです。
しかし、道庁は、肝心の企業名や口利き内容は「非開示」として、黒塗りの処置をとり、知事も調査を拒否。道議会では、自民党、公明党は委員会をふくめて一度も疑惑解明を求めたことはなく、本格追及は日本共産党だけ。前代未聞の資料が公開されながら、真相は闇の中という重大な事態になっています。