日本共産党

2002年12月29日(日)「しんぶん赤旗」

貸しはがし防止条例へ広がる取組み

日本共産党提案に

知事が「研究する」 千葉

京都経済界幹部 「中小企業に“血液”循環を」


 「貸しはがし防止条例(地域金融活性化条例)の制定を」――。小泉内閣による不良債権最終処理の加速策で中小企業の資金繰りが急速に悪化するなか、地域に必要な資金を金融機関が安定的に供給することを求める条例づくりの取り組みが広がっています。千葉、大阪、京都、埼玉では、日本共産党の府県議団が条例案をつくって県当局に制定の提案をおこなっています。地域金融の安定を求める各地の取り組みを紹介します。


写真
代表質問で条例案の制定を提案する日本共産党の小松実県議=12月千葉県議会

 今年一月、地域に根付いて中小企業への貸し出しをしてきた船橋信用金庫が金融庁検査によって破たんした千葉県。党県議団は十二月議会で、「地域金融にたずさわる金融機関は、必要な資金を安定的に供給し、中小企業の金融活性化をはかる必要がある」と条例案の制定を提案しました。

 これにたいし、堂本暁子・千葉県知事はその後の交渉の場で「研究する」と発言。当初、「条例を県で制定することは困難ではないか」と難色を示した県当局の姿勢に変化が生まれてきています。

 この背景について、党県議団の古小高弘則県議は、「船橋信金が破たんした際、住民から地域金融の安定を求める声が強くだされた」と説明します。

 党県議団も地方経済との関係で金融機関を評価する条例の制定は現行法のもとでも可能と、議会内外でねばり強い説明と話し合いをおこなってきています。

対話・共同の輪

 一方、党京都府委員会は、条例案を盛り込んだ「緊急経済提言」を発表。「貸し渋り・貸しはがし防止条例」として地元の経済関係者との対話・共同の輪を広げる取り組みをおこなっています。

 地元経済界の幹部は、「(条例による)地域金融活性化委員会は必要。中小企業、弱いところに“血液”を循環させなければならない」(京都経済同友会の藤本圭司常任幹事)と評価しています。また、金融機関関係者からも、「『貸しはがし防止』という言葉は、われわれにはきついが、現場を歩いている者は同じ感覚で仕事をしている」(信用金庫・役員)と共感が広がっています。

「理解できる」

 埼玉県では、党埼玉県議団が土屋義彦埼玉県知事に条例案の制定を提案。土屋知事は、「お話はよく理解できる」と答えました。党埼玉県議団の藤野泰弘副団長は、「条例案が制定されれば、金融機関の役割が地域との関係で見直されることになる」として、こう強調します。「埼玉県は中小企業が多く立地しており、中小金融の安定はたくさんの事業者の要望となっています。多くの関係団体と懇談し、条例制定のための運動を大きく広げていきたい」


貸しはがし防止条例案の特徴

 まず、条例案の目的として共通しているのは、地域の預金者から集めた資金をある程度、地元融資として還元すること、つまり、地域金融が本来果たすべき役割を取り戻そうということです。

 また、条例案は、地域の住民、事業者の立場から第三者機関(地域金融活性化委員会)を設置し、金融機関の貸し出し状況、貢献度などを調査することを明記。銀行の「健全性」(自己資本比率)だけに注目した金融庁の検査・監督と違い、地域経済の発展という立場から金融機関を評価するという点が、注目すべき特徴です。

 これらの特徴を骨子にしてみると、(1)金融機関は、利用者の利便をはかり、地域に必要な資金を十分供給することで、地域経済の健全な発展に貢献する責務があることを明記(2)第三者機関を設けて、金融機関の地域金融業務を調査し、結果を公表(3)地域金融に関する苦情の解決あっせんをおこうこと――という内容になります。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp