2002年12月27日(金)「しんぶん赤旗」
川崎市が来年四月から市内百十五カ所の学童保育を全廃し、全児童を対象にした「わくわくプラザ」に統合しようとしている問題で二十六日、DCI(子どもの権利を守る国連NGO、本部=ジュネーブ)日本支部は、同施策を「子どもの権利条約」違反とする意見書を阿部孝夫市長と大木稔市民局長に提出しました。
![]() 記者会見をするDCI日本支部=26日、川崎市役所 |
意見書は施設などの物的条件とともに、主に日替わりのパート職員で運営するという人的条件の欠陥を指摘。「子どもの成長発達を保障する場所になりえない」としています。市側は「検討する」とのべるにとどまりました。
記者会見で同支部代表の福田雅章・一橋大学名誉教授は、同施策について「条約違反とともに、川崎市の『子どもの権利条例』にも矛盾し、学童保育の機能を後退させるもの。来年三月末をめどに最終報告書をまとめ、市側と再度話し合いの場を持ちたい」とのべました。
同施策は、今年三月に阿部市長が「『行革』の第一歩」として宣言。学童保育事業と全児童対策事業という目的も性格もまったく異なる二つの事業を統合するのは全国でも前例がありません。
市民団体の「学童保育を守り、安心できる保育施策を求める署名の会」では「学童保育をなくさないで」と、十八万人の請願署名を市議会に提出、継続審議となっています。