日本共産党

2002年12月26日(木)「しんぶん赤旗」

解説

年金運用巨額損失

無責任なマネーゲーム


 物価スライドの凍結を解除して年金給付のカットを強行し、一方で株式の運用に失敗して年金財政に一兆円を超える大穴をあける――いずれも小泉内閣による不況加速、デフレ進行がまねいたもので、責任は重大です。

 来年度予算案で年金財政の危機を理由にした物価下落分の給付カットを提案するなど論外で、まず株式への運用の在り方を見直すことが必要です。給付カットは物価下落(二〇〇二年分)が1%として年間四千億円で、七―九月期の株式運用損一兆一千七百億円はその三倍にも及びます。

 こうした損失のなかでも、実際の運用を委託された金融機関(信託銀行、投資顧問会社)は巨額な運用手数料を確保。二〇〇〇年度、二〇〇一年度に支払われた手数料は、合計六百九十七億円にもなります。

 年金積立金の株式運用は二〇〇〇年度の年金改悪で、厚労省(年金資金運用基金)が直接運用する自主運用方式が導入され、株式に運用する年金資金の拡大がはかられました。

 これにたいし日本共産党は損失拡大の危険を強く提起。「マネーゲームに参加して、失敗していくら積立金を失っても、結局だれも何の責任もとらないことになる」(小池晃議員、二〇〇〇年三月、参院国民福祉委)とただしました。ところが政府は「分散投資することによってより安全で有利な運用が可能になる」(丹羽雄哉厚相、当時)とのべて強行しました。

 連続する巨額の損失を前にして、政府の社会保障審議会年金資金運用分科会で十月から「株式を含む分散投資の是非」の検討に着手しています。しかし株式投資反対派と賛成派に分かれ、年内に予定していた結論を持ち越しています。

 厚労省は、こうした焦点の問題を残したまま、大幅な年金保険料の引き上げ、給付削減をもりこんだ年金改革案(「方向性と論点」)を提案。さらに財源確保を理由に消費税増税さえねらっています。年金財政に大穴をあけながら負担増を押し付けることなど、国民にとって到底受け入れられるものではありません。(斉藤亜津紫記者)


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